「回復の実感」、「明確な目標設定」、「生活に関係する訓練」は、患者さんと医療者の双方が重要と考える動機づけ要因Oyake et al., Commun Med(Lond). 2023仰向けから座る姿勢に起き上がるときの血圧変化から起立性低血圧の有無を判定する新しい評価手法の開発Oyake et al., J Hypertens. 2023多施設によるデータベースを活用した取り組み透析中の運動療法の様子下半身の圧迫で心拍数が低下する自律神経メカニズムの理解Oyake et al., Front Physiol. 2024フレイル予防の運動指導小宅 一彰 准教授山形県立保健医療大学卒業。信州大学大学院にて博士課程修了。理学療法士として、回復期病院に勤務後、日本学術振興会特別研究員 (DC2)、私 立 大 学 教 員 を 経 て 2019年に着任。中村 慶佑 助教信州大学医学部保健学科卒業。信州大学大学院医学系研 究 科 博 士 後 期 課 程 修 了。2024 年より信州大学医学部保健学科の助教に着任。 脳卒中になられた患者さんに対するリハビリテーションでは、練習や運動による身体活動を主体とした治療により、生活機能の改善を目指します。また、脳卒中は再発しやすいため、再発や重症化を予防するための取り組みも重要です。 このような背景から、リハビリテーション治療に対する患者さんのモチベーションに関する研究や循環機能に関する研究に取り組んでいます。モチベーションの研究では、患者さんの意欲を高める手法のモデル化と効果検証をしています。循環機能の研究では、起立したときの血圧や心拍数の変化に着目し、それらを調節するメカニズムの理解や新たな評価手法・治療手段の開発を目指しています。1.多施設共同によるレジストリデータベース(大腿骨近位部骨折、脳卒中) 長野県の多施設におけるレジストリデータから、リハビリテーションの質に施設間の差が存在することが明らかになりました。データ解析と施設間の情報共有を通じて、リハビリの質を向上させることが必要であると考えます。2.地域高齢者のフレイル対策 地域高齢者のフレイルの特性を分析し、医療機関、行政、地域コミュニティ、教育機関が協力してフレイルの発症及び進行の予防策を講じます。3.糖尿病・腎症患者の運動や身体活動 糖尿病及び腎症の患者数は年々増加しており、運動療法や身体活動の介入を通じて、これらの疾病及び介護の予防を目指します。― 28 ―研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像応用理学療法学応用理学療法学 身体活動は、疾患や障がいの有無にかかわらず、すべての人々の健康管理のために重要です。私が取り組んでいる研究テーマは、脳卒中に限らずリハビリテーション治療を必要とするすべての患者さんの機能回復、中高年者の生活習慣病予防、高齢者の介護予防、さらには若年者の健康管理にも応用できる可能性があり、「インクルーシブヘルス」の推進に貢献することが期待されます。 リハビリテーションというとケガや病気の後の治療というイメージが強いですが、今後は予防への取り組みが益々重要になります。大学卒業後は、大学院にも進学し、高度な知識と技術を身に付け、すべての人々の健康に貢献できる理学療法士を目指してください。 高齢化に伴い、多疾患併存や要介護者の増加、社会保障費の増大などの課題があります。 多施設共同によるレジストリデータを分析することでリハビリの質の向上につなげることが期待されます。さらに「運動」や「活動」を通して、地域高齢者の健康寿命の延伸につながることを目指しています。 研究活動を通して身につけた知識、技術、協働力、問題解決能力、新たなものを創造する力は、卒業後の臨床活動や教育・研究機関、地域などの様々なフィールドで活かすことができます。周りに感謝しながら社会貢献していきましょう。夢ナビにてミニ講義公開中!詳細は冊子巻末をご覧ください理学療法学専攻 脳卒中患者の活動的な生活を支援できるリハビリテーション戦略の構築を目指して理学療法学専攻 高齢者の健康寿命延伸を目指した質の高いリハビリテーションプログラムを開発
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