乳酸代謝量は骨格筋量と正の相関関係にある血中乳酸測定の様子ウサギの大腿骨内に埋め込んだカーボンナノチューブ複合アルミナセラミックスの組織像(1 年半)骨内に有害反応なく納まっている。右肩の悪性軟部腫瘍の術後の患者さん。傷は良好に治っているが、腕の挙上制限が残っている。肉腫について、子供たちにも分かりやすいようにマンガを用いた肉腫を紹介するパンフレットを作成。岡野 怜己 助教2011 年 信 州 大 学 医 学 部 保健 学 科 卒 業。2021 年 信 州大学大学院総合医理工学研究科博士課程修了(保健学)。2025 年 より信 州 大 学 に 着任。青木 薫 教授信州大学医学部医学科卒業。同大学院医学系研究科博士課程修了。日本整形外科学会専門医。信州大学医学部附属病院リハビリテーション部より2015 年に保健学科へ着任。手術後のリハビリテーション・機能、腫瘍切除後の再建方法、骨軟部腫瘍のため 筋線維の変性・壊死を主病変として進行性の筋力低下を示す筋ジストロフィーのリハビリテーションについて、以下のテーマを研究しエビデンスの構築を目指しています。 上限運動量の定量化:筋への過負荷を避けるため、乳酸を指標として運動量を設定できるか検討しています。 筋力トレーニングの効果検証:神経筋電気刺激(NMES)を用いた筋力トレーニングの安全性と有効性の検証を行ない、プロトコールの開発に取り組んでいます。 その他、運動時の自律神経活動、関節拘縮の個人差など、臨床における疑問を解明することで効果的な介入方法の確立を目指します。 整形外科では関節や骨の疾患に対して、人工関節や人工骨、骨固定材料を用いて治療を行います。治療のためにヒトの体に手術で埋め込む素材を生体材料と言います。さらに安全性、治療効果、耐久性に優れた生体材料を開発するため、工学部、繊維学部、医療機器メーカーなどと協力して作成した材料の生体安全性評価を行っています。 また、整形外科医として主に骨軟部腫瘍(「骨肉腫」(骨にできるがん)など)の治療にも従事しています。骨軟部腫瘍についてその治療成績、手術切除範囲、の「がん教育」についての臨床研究も行っています。―27 ―研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像基礎理学療法学応用理学療法学 呼吸器管理をはじめとした治療の進歩により、筋ジストロフィー患児(者)の平均寿命は飛躍的に延長しています。身体機能を維持し、自立した日常生活を送るための有効なリハビリテーションプログラムの確立に向け、良質なエビデンスを蓄積していくことは、今後ますます重要となる筋ジストロフィーのお子さんとご家族の QOL の向上に貢献できると考えています。 研究活動を通して得られる知識や技術は多岐に渡ります。臨床上の気付きや課題から適切な研究課題を設定し遂行する能力、他者と協働して問題解決に取り組む能力などは、卒後研究職や大学教員、医療機関や福祉施設での勤務にも活かすことが出来ると思います。 人工関節手術や脊椎固定術などを行った患者が、年齢を重ねた際に生体材料の寿命が先に来てしまうと患者の活動性が低下したり、危険の高い入れ直しの手術が必要となります。高機能な新規生体材料の開発により、健康寿命の延長につながることが期待されます。 骨軟部腫瘍の治療においても、患者の命を救うことは当然として、その治療後の日常生活機能が維持できることを目指しています。 当専攻では卒業時に国家試験に合格すると理学療法士の資格を取得することができ、病院、診療所、施設などで働くことができます。卒業後、大学院に進学してさらに深い研究を行い、医療の発展に貢献していただきたいと思っています。理学療法学専攻 デュシェンヌ型筋ジストロフィー児に対する理学療法学専攻 新規生体材料の開発・評価とリハビリテーションのエビデンスの構築骨軟部腫瘍の解析
元のページ ../index.html#29