線維化進展機構の解明 「細胞間相互作用」「細胞傷害・脂肪酸・細胞密度」「線維化促進タンパク(オステオポンチン,OPN)」遺伝子変異・多型を標的とした遺 伝 子 配 列 特 異 的 定 量 PCR 法の改良リアルタイム 6 分間歩行試験モニタリング中の画面(左)と解析(右)健常者と軽症 COPD 患者における安静呼吸の呼吸を開発中の体表センサーで捉えた画像。COPD 患者は軽症であっても呼吸運動に乱れがみられることがわかる(統計学的有意差あり)。臨床検査分野の研究における大切な両輪東京医科歯科大学医学部保健衛生学科卒業信州大学大学院博士課程修了(学位:博士(医学))信大病院臨床検査部副技師長(遺伝子・染色体検査)2018 年 現職ています。 生化学や遺伝子検査学などを担当しています。病院での実務経験を通して、病態を把握できる新規バイオマーカーを見出すことや検査法の改良の重要性を感じました。新規バイオマーカーを見出すためには、基礎的研究が必要です。現在、「線維化進展機構」について研究を行っています。細胞傷害、酸素濃度や細胞密度の変化、脂肪酸などの刺激に対する分子の動きを細胞間相互作用に注目し分子生物学的手法を用いて解析しています。また、臨床的研究として、「遺伝子配列特異的定量 PCR 法の改良」を行い、病原体や腫瘍細胞の識別・量的評価への応用を検討しています。常に基礎的・臨床的研究という両輪を意識して研究を展開しています。 生理学、呼吸機能検査学実習、医用電子工学・センサー工学を担当しています。また、内科および呼吸器内科専門医、喘息専門医、呼吸器内視鏡専門医として附属病院で外来診療、精密呼吸機能検査、内視鏡検査をおこなっています。 研究対象は、主として慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息などの閉塞性肺疾患です。COPD の死亡率減少は現在国を挙げたプロジェクト(健康日本 21)の一つであり、COPD の早期発見や閉塞性肺疾患の呼吸機能に関する研究を主に行っています。また病院薬剤部と地域の院外薬局とを結ぶ吸入指導連携を構築し― 20 ―研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像生体情報検査学生体情報検査学松田 和之 教授安尾 将法 教授信州大学医学部医学科卒業後、信州大学医学部内科学第一教室に入局。同大学院を修了し医学博士を取得後、米国バージニア州立大学に留学。内科学第一教室講師を経て、2021 年より現職。 臨床検査技師が習得できる技術はタンパクから遺伝子レベルと広範囲に及びます。検査の実務経験は研究活動に活かせます。臨床検査技師の学術的好奇心や研究領域は臨床医とのコミュニケーションによって制限なく広がります。あらゆる領域・疾患について興味を持っても良いのです。病態を把握する新規のバイオマーカーを見出す病態解析研究や検査法改良は臨床検査の実務に還元できる可能性があります。 学部教育や研究活動から「変化に気づき、課題を見出し、そして解決する」という基礎力を養った臨床検査技師は病院・研究機関・企業などあらゆる分野で活躍できます。それは、生体情報(検査値)を扱う臨床検査技師が医学・医療に貢献できることを意味します。 当研究室では大学の他学部や企業との共同研究を行い、従来の測定方法の改良(過呼吸法による動的肺過膨張測定。リアルタイム6 分間歩行試験の実施など。)、新たな診断方法の確立(COPDの早期発見や受診勧奨のためのスクリーニング機器の開発)など、実際に人のために役立てられる診断法や機器の開発を目指しています。 学部での学習や大学院での研究活動を通じて、将来どのような領域の職種に就いても、そこで新たな疑問点と解決方法を発見し、追究できるようなプロフェッショナルとしての臨床検査技師を目指してほしいと思っています。検査技術科学専攻 線維化進展機構の解明と遺伝子検査技術の改良:基礎的・臨床的研究の両輪を意識して検査技術科学専攻「より良い」、「新たな」、「実際に使用可能な」検査・診断方法を目指して
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