AI を活用したシステム開発にむけた調査・研究を行っていきます難病患者さんの事例報告ですデータ分析に関する学習課題の分析アバターによる模擬患者のナラティブ教材病院の看護職が研究する際の 支援も行っています進藤 真由美 講師東京医科歯科大学医学部保健衛生学科看護学専攻卒業、山形大学大学院医学系研究科看護学専攻博士前期・後期課程修了(看護学博士)。本学 助 教、山 形 大 学 等 を 経 て2021 年 4 月より現職。小村 晃子 助教兵庫県立大学大学院博士前期課程修了(応用情報科学修士)。脳神経外科病棟や訪問看護ステーションにて勤務。2024年信州大学医学部保健学科看護学専攻に着任。た研究に取り組んでいます。また、情報技術を活用した看護教材の開発にも取り 大学を卒業後、附属病院に勤務して初めて配属になったのは神経内科の病棟でした。自分の症状が治らない病によるものと確定診断を受けて退院する方や、難病の再燃と緩解を繰り返して 30 回以上も入退院を繰り返す患者さん達に病棟看護師として関わりながら、退院後も患者さんの生活はずっと続き、入院というのは患者さんの人生の中では、非日常のほんの一部に過ぎないという当たり前のことに気づきました。 これまでは看護師の行う入退院支援に着目した研究を行ってきました。現在は、認知症高齢者の「入院関連機能障害」を予防するAI 活用型のシステムづくりを目指して研究しています。AIには看護できないというアンチテーゼが現実になるのは、そう遠くないかもしれません。 近年、大規模言語モデルを用いた生成 AI や、人とモノがつながるIoT 技術の普及によって、新たな社会“Society5.0”が到来しようとしています。医療業界も、新興感染症の蔓延を経て遠隔医療や遠隔看護が拡がり、電子処方箋や医療情報ネットワーク事業も全国規模で展開されるなど、目覚ましい情報化の進展です。また、マイナンバー制度やウエアラブルセンサーの普及によって、個人の健康情報(PHR:パーソナルヘルスレコード)の活用も拡がり始めています。 新たな時代の到来に向け、看護師の情報活用力やデータ分析力の向上に向け組んでいます。―17 ―研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像在宅看護学在宅看護学 世界に類を見ない急速な高齢化の中、地域包括ケアシステムの実現に向け、各地で取り組みが進められています。看護職は、患者さんの「いのち」と「くらし」の両面を支援する専門職です。病棟看護師は患者さんの入院中だけ、訪問看護師は自宅療養中だけ、と線引きをしてしまうのでなく、その患者さんに必要な看護を切れ目なく提供することから安心・安全な在宅療養継続が実現します。 学生の皆さんは、卒業後は病院等で働き始める方がほとんどだと思います。じっくりと患者さんと向き合い、人生をシェアしあうような体験ができる訪問看護も10年先、20年先のキャリアの候補として頭の片隅に置いていただければ嬉しいです。 最期を迎えるその時まで、住み慣れた地域で安全に暮らし、安心して療養することは、多くの人々の望む姿と言われています。これまでは、その実現に多くの医療・介護専門職が必要でした。今後 “少子高齢多死社会” を迎えるわが国で、情報技術を活用したテクノロジーで安全を、データ分析による質の高い看護ケアで安心を、新たな看護の創出を目指していきます。 医療機関では、電子カルテをはじめ、高機能な医療機器や小型センシングデバイスが次々と導入されています。行政や地域の診療所、全国の医療・介護・福祉事業所ともデータ連携が始まります。新たな時代に活躍できる専門職を目指しましょう。看護学専攻広域看護学領域看護学専攻広域看護学領域入院による機能低下を防ぐために―テクノロジーと看護の融合を目指して―テクノロジーで安全を 看護ケアで安心を―訪問看護師の情報活用力を活かす―
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