保健学科研究紹介2025
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生活習慣病予防外来のスタッフと看護学生(2025 年 3 月)検査結果の説明と健康相談リモート栄養指導(管理栄養士と学生)リモート運動指導:テレリハビリテーション(理学療法士と学生)終末期独居がん患者に特徴的な問題について:医療者に対するインタビュー調査のカテゴリ結果がん患者遺族の複雑性悲嘆の尺度についての発表:第 22 回日本緩和医療学会学術大会R 3 東北大学大学院 博士後期課程修了H24 東北大学卒業H24 東北大学病院勤務H29 東北大学大学院博士前期課程修了伊澤 淳 教授静 岡 県 清 水 市(現 静 岡 市)出 身。清 水 東 高 校、信 州 大学 医 学 部 卒 業。Harvard 大学 Boston 小児病院に留学。循環器内科学の基礎、臨床、疫 学 研 究を経 験。教 育と研究による地域貢献を目指す。塚田 尚子 助教 北安曇郡松川村および東筑摩郡麻績村と本学医学部との地域連携協定に基づく活動を推進し、地域保健における健康課題の解決を目指しています。また、「医科歯科連携による先進予防医療研究会・松本(D-CAMP・松本)」に参画し、松本市の歯周病検診データを解析して歯科口腔疾患と全身疾患との関連を明らかとするなど、地域の保健医療データの活用にも取り組んでいます。 長野県教育委員会、長野県栄養士会、本学医学部附属病院と連携して開催している生活習慣病予防外来(写真)では、医師、看護師、管理栄養士、理学療法士と看護学生が協力して、児童・生徒と家族・保護者を対象としたヘルスプロモーションを実践しています。食事や運動、睡眠などの生活習慣の課題が、血液中の脂質等の異常と関連し、将来の成人期に脳心血管病やメタボリックシンドロームを発症する可能性があるため、効果的な予防方法を探索しています。 高齢化が進み、わが国では多死社会を迎えています。患者にとって延命よりもどれだけ Quality of Life(QOL)を保つかが大切だとして、医療の目的や個人の価値観などが近年変化してきています。患者やその家族がより良い最期を迎えられることを目指して今まで研究を実施してきました。現在取り組んでいる研究は独居がん患者が主な対象です。高齢者の独居世帯の増加に伴い、家族のサポートが得られにくい独居のがん患者の終末期の QOL の実態を質問紙調査で明らかにしたり、医療者からみて独居がん患者が抱えている問題をインタビュー調査でらかにしていきたいと思っています。明らかにしています。今後は身寄りのないがん患者への終末期ケアについても明― 10 ―研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像老年看護学老年看護学 長寿である一方、1人当たりの医療費が低い長野県は、超高齢社会となった我が国の近未来モデルです。長野県内で地域連携に基づく保健医療データを解析し、健康課題を明らかとして、近未来の地域保健に貢献するような研究を目指しています。 学校健診で認める児童・生徒の健康課題の要因に関する分析により、将来の疾患の発症予防、成人期の健康維持につながる効果的な取り組みを明らかとして健康長寿が達成できる未来を期待しています。 人々や地域が有する課題は複雑に多様化しており、協力して解決するために、専門職連携の構築が大切です。他職種との連携によるヘルスプロモーションを継続し、新たな学術的根拠を積み重ねて健康寿命の延伸に貢献しましょう。 独居がん患者の終末期へのケアは家族のサポートが少ないことから、患者だけでなく医療者にとっても困難感を抱える事があります。研究により、独居がん患者への適切な医療やケアの実態を明らかにすることで患者のQOLだけでなく、医療者の困難感の軽減にも繋がります。将来的には独居の人が安心してその人らしい最期を迎えられる社会を目指しています。 超高齢社会において、医療費や医療資源などが限られた環境の中で最大限の看護を提供する事が求められると思います。環境や患者の特性に対して柔軟に適応できる看護師として活躍できるように看護の基礎や考える力を大学で一緒に学んでいきましょう。看護学専攻成人・老年看護学領域看護学専攻成人・老年看護学領域地域連携による保健医療データの解析・先進的なヘルスケアと健康課題の解決すべての人が良い最期を迎えられる社会を目指して

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