がん患者さんを取り巻くサポートのイメージがんと闘う患者さんは 24 時間病気と向き合っているデイサービスでの実習の振り返りの様子。協同学習によって、チームワークの重要性や、それに必要な態度・技術などを養う看護師対象の『認知症看護対応力向上研修』( 日本老年看護学会主催 )の様子。急性期医療を受ける認知症の人の認知機能を悪化させないよう、適切に対応できる看護師の育成が課題となっている混合研究法を用いた研究のジョイントディスプレイ笠原 邑斗 助教2014 年より看護師として 11年間勤務。その間に東京医療保健大学大学院修士課程を修了。2025 年より信州大学に着任。會田 信子 教授明治学院大学社会福祉学科卒業。聖路加看護大学大学院修士課程修了。東京医科歯科大学大学院博士後期課程修了(看護学博士)。東京女子医科大学、名古屋大学を経て、2015 年に着任。みた高齢者ケアスタッフの対人関係の課題などを明らかにしています。 主に造血器腫瘍患者さんを対象とした研究を行っています。造血器腫瘍は治療が長期化し、感染症や再発、治療に伴う副作用など、様々なリスクも高いため、患者さんは継続的なセルフケアと生活支援を必要とします。特に、治療選択や生活の質に関する意思決定の場面では、納得感をもった選択と、それを支える看護の関わりが重要です。 私は、こうした患者さんが副作用の予防を含め、自分らしく生活し続けるための看護支援の在り方を探究しています。臨床経験を基に、教育と研究を通じて、患者さんの人生に寄り添う看護の実践を深めていきたいと考えています。 加齢とともに病気・障害のみでなく、日常生活において自分のことが自分でできなくなって支援を必要とする「要介護状態」になる人が増えます。高齢者が安心して安全・自立的に生活をしていくために、医療・看護のみでなく、保健・福祉・行政・地域住民などとの協働・連携によるサービス支援が必要となります。 現在、とりくんでいる研究テーマは、高齢者福祉施設スタッフや大学生を対象として、支援・サービスに必要となるチームワークのあり方を探求しています。また、深刻な問題となっている高齢者施設スタッフの離職要因や、感情労働から―9 ―研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像成人看護学老年看護学 がんと共に生きる患者さんが、自らの価値観に基づいて納得のいく選択をし、副作用をコントロールしながら安心して暮らしていけるよう支援する看護のあり方を明らかにしたいと考えています。 現場の実践知とつなげながら、より具体的かつ実践的な支援モデルの構築を目指します。 「あなたがいてくれてよかった」と思ってもらえる看護があります。悩みや選択に寄り添い、人の力になる実感を得られるこの仕事へ、胸を張って一歩を踏み出してください。 高齢者ケアの現場は、認知症の人への対応の難しさから「キツい・危険」などと認識されているかもしれません。現場スタッフが協力し合いながら自信と誇りをもって働ければ、ケアの質が高まり、ケアを受ける高齢者もハッピーになり、さらに高齢者ケアの社会的価値も高まるはずです。世界に誇れる高齢者ケアの具現化に寄与していけるよう、一緒に老年看護学を学びましょう。 相手の苦悩に寄り添える人間力と問題の本質を追求していける探究心、チームで問題を解決していける行動力をもった看護職者が社会から求められています。専門知識のみでなく、幅広い教養を身につけ、他者と関わることの意義を見いだしていってほしいです。看護学専攻成人・老年看護学領域 “納得”が生まれる看護を、患者さんと共に看護学専攻成人・老年看護学領域チームは何のためにあるのか?-世界に誇れる高齢者ケアを目指して-
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