工学部研究紹介2026
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72耐耐震震設設計計ののそそのの先先へへ次次世世代代のの鉄鉄筋筋ココンンククリリーートト((RRCC))構構造造研究キーワード私の学問へのきっかけ教授 諏訪田 晴彦研究から広がる未来卒業後の未来像最近の研究トピックス袖壁・腰壁・垂れ壁付き鉄筋コンクリート造架構の地震時履歴挙動と損傷評価に関する解析的研究(※近年のパーソナルコンピュータの性能向上によって、大規模な構造物を対象とした非線形有限要素解析が比較的容易に実施できるようになってきており、大規模構造実験の代用ツールとしての確立が期待できる)。地震、安全、安心、鉄筋コンクリート構造、損傷の抑制、地震後の継続使用性、地震後の生活困窮、建築資産の保全、次世代耐震設計千 葉 大 学 工 学 部 建 築 学 科卒 業 、 国 土 交 通 省 国 土 技術 政 策 総 合 研 究 所 、 国 立研 究 開 発 法 人 建 築 研 究 所を 経 て 2023 年 より 現 職 。専 門 は 地 震 工 学 、 鉄 筋 コンクリート構造、博士(工学)大地震に対する建築物の耐震性能を研究することは、“非日常”を扱うことですが、世界有数の地震多発国である日本ではとても身近なことです。職業としても重要ですが、自分自身、家族、恋人、友達が大地震で被害を受けた時のことを想像してみると研究の重要性を実感するはずです。構造設計業務のみならず現場施工の専門家としても活躍してほしいですが、どのような職業に就いたとしても、建築物に求められる耐震性能の重要性を常に意識してほしいと願っています。さらに、日本と同様、地震が多発する開発途上国への技術支援活動や教育・研究活動にも積極的に参画してほしいです。2016年熊本地震におけるマンションの被害調査事例(建築基準法では大地震に対して倒壊や崩壊を防ぐことを目標性能としており、継続使用=損傷制御までは考慮されない)大地震時の損傷を抑制する技術開発に関する構造実験例(高いひび割れ抵抗性を有する繊維補強コンクリートを壁に利用することで、損傷低減効果と高い剛性・強度を兼ね備えた建物が実現可能)。最初は単純に建築家(建築デザイナー)にあこがれ、高校の建築科に進学しました。1989年に高校を卒業し、当時の建設省建築研究所の構造部門に採用され建築構造の道に入りました。大学は働きながら夜間コースを卒業しました。本気で構造の研究者を志したのは1995年の阪神淡路大震災の被害調査に行ってからです。この震災調査を通じて自らの技術者としての未熟さや志のなさを思い知らされ、その後、真剣に研究に取り組んで千葉大学で博士の学位(論文)を取得しました。大地震に対する日本の耐震設計基準は、倒壊や崩壊を防ぎあくまでも人命を確保することが目標とされています。しかし、東日本大震災や熊本地震などでは、倒壊や崩壊はしなかったものの損傷によって建物が継続使用できなくなり、多くの方々が生活困窮者となってしまいました。こうした地震災害の教訓に対して、諏訪田研究室では、RC造建築物を対象に大地震に対して損傷を抑制する構造技術や設計法に関する研究を実施しています。研 究 シ ー ズ 高いひび割れ抵抗性を有する繊維補強コンクリートを利用したRC造建築物の損傷低減技術とその評価法に関する研究 袖壁・腰壁・垂れ壁を活用したRC造建築物の損傷低減技術とその評価法に関する研究 RC造建築物の地震応答値の評価精度の向上に関する研究 RC造建築物の継続使用性、修復性に関する研究 RC造建築物を対象とした地震応答変形と損傷度に基づく性能設計法に関する研究 非線形有限要素解析によるRC造建築物の地震応答と損傷評価に関する研究 RC造建築物の耐震診断・改修技術の高度化に関する研究 開発途上国における脆弱建築物の耐震性向上に関する研究共同研究・外部資金獲得実績共同研究 現時点では特になし外部資金 TAKEUCHI育英奨学会助成金事業:「繊維補強コンクリート袖壁による耐震補強に関する解析的研究」,研究代表者,250万円(2024年4⽉〜2025年3⽉)画像を配置画像を配置

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