工学部研究紹介2026
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最近の研究トピックス研究キーワード層状窒化炭素 ・ 二次元物質(層状物質) ・ 光電変換 ・ 単結晶薄膜44私の学問へのきっかけ准教授 浦上 法之層状窒化炭素の電子材料として利用するための取り組み。欠陥制御や不純物添加および素子化を通して、電荷輸送制御や磁気秩序の発現により、低環境負荷材料へ展開する。新たなp型二次元物質として検討している層状IV-V 属 化合物 を電界 効 果トラ ン ジ スタ として動作することを実証した。今後、さらなる性能と機能向上を目指す。2015年3月豊橋技術科学大学博士(工学) 取得信州大学工学部助教を経て2024年4月より現職専門の研究分野・電気・電子材料工学・結晶工学層 状 物 質 は 物 理 的 性 質 に 注 目 が 集ま る 一 方 で 、 素 子 応 用 の 検 討 例 が少 な く 大 き な 可 能 性 が ま だ ま だ眠 っ て い ま す 。 当 研 究 室 で は 、 新規 材 料 の 創 成 と 素 子 の 設 計 製 作 の両 者 か ら 、 こ れ ま で の 常 識 を 打 ち破 る 革 新 的 な 電 子 素 子 の 実 現 に 挑み ま す 。本 研 究 室 で は 、 材 料 や そ れ か ら 成る 素 子 に つ い て 総 合 的 に 知 る 必 要が あ り ま す 。 ま た 実 験 装 置 を 自 らが 動 作 さ せ 、 維 持 管 理 を 行 い ま す 。そ れ ら の 経 験 は 、 電 機 メ ー カ ー を筆 頭 に や 装 置 メ ー カ ー や 研 究 機 関な ど で 、 幅 広 く 活 躍 で き る 技 術 者に な る た め に 活 き て い き ま す 。可視光域において優れた光感度特性を示す層状GaSe薄膜を用いて、個体差の小さい光検出器アレイを作製することに成功した(Appl. Phys.Express 16, 056503 (2023).)。また、本材料は偏光に対して感度があり、光検出器の高機能化につながる可能性を秘めている。強誘電半導体α-In2Se3の極性を利用したバルク光起電力効果。界面なしに量子力学的な機構により光電変換が可能であり、微細な光検出器や自立電源として有望な原理である。米国 物理学 協 会(AIP) のApplied Physics Letters 誌にお いてFeatured Articleに選出され、対外的に高い評価を受けている。(Appl. Phys. Lett. 125, 073102 (2024).)中学生の頃に電化製品を作りたいと思い、それにつながりそうだということで高専に進学しました。19歳の頃に実験講義で光る半導体を知り、理屈は難しいですが深く知ってみたいと考え大学へ編入学しました。運よくその研究をすることができ、学位を取得することができました。現在では、半導体の根幹にある 学問(量子力学や固体物理学)により理解できる特異な 現象を基に、革新的な電子素子の開発を目指すようになりました。身の回りの電気電子機器のさらなる発展には、「新機能材料」と「高品質素子」の創製が不可欠です。また、異分野融合やモノに新たな付加価値を与える必要性が高まっています。このような背景から当研究室では、特に層状物質という比較的特異な性質を示す電子材料や従来材料における新たな性質により、物理性質の探求からその素子化を追求することにより、電気電子工学の新たな基盤技術を提案し実証していくことを目指しています。研 究 シ ー ズ 炭素系化合物半導体の創成と電子素子への展開(層状窒化炭素膜の電荷輸送制御と低消費電力素子への応用)(異種元素添加による物性制御)(構成元素に金属元素を用いない磁性半導体への展開) 二次元物質による電子素子の開発(二次元チャネル電界効果トランジスタの開発)(新規p型二次元半導体の探索) 環境発電を利用した微小電源の開発(自発分極が誘起する異常光起電力効果の高効率化)共同研究・外部資金獲得実績科研費 2025-2027年度 基板研究(B) (代表)「貴金属なしに磁気秩序を有する層状窒化炭素薄膜の磁気光学応答」 2025-2027年度 基板研究(B) (分担) 2021-2023年度 若手研究 (代表) 2019-2020年度 若手研究 (代表)助成金 2025年4月-2026年3月 公益財団法人 豊田理化学研究所(共同研究) 2024年10月-2025年12月 公益財団法人 服部報公会 2024年4月-2025年3月 公益財団法人 TAKEUCHI育英奨学会 2024年4月-2025年3月 公益財団法人 豊田理化学研究所(スカラー) 2024年4月-2025年3月 公益財団法人 中部電気利用基礎研究振興財団 2023年10月-2024年9月 公益財団法人 村田学術振興財団 2023年4月-2024年3月 公益財団法人 池谷科学技術振興財団その他、研究助成10件、海外渡航助成3件をご支援頂いている。物物質質探探索索とと素素子子作作製製技技術術のの追追求求にによよるる電電気気電電子子工工学学のの新新たたなな基基盤盤技技術術をを開開拓拓研究から広がる未来卒業後の未来像

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