<<共共同同研研究究>>◼ 湖沼における光化学反応と有機物特性の関連性評価◼ 連続監視と網羅分析による水質事故の検知・対策手法の開発282004 年 東 京 大 学 大 学 院 工学 系 研 究 科 都 市 工 学 専 攻修了。国 立 環 境 研 究 所 勤 務 を 経て、2021年より現職。水インフラの老朽化に伴う様々な事故が取り上げられるようになってきました。危機を回避し明るい未来を迎える鍵は、水インフラにおける新しいシステムの構築です。当研究室で は 、 水 イ ン フ ラ を 支 え る「 水 環境」と「用排水」を対象として研究を進めています。卒業後は、人々の生活基盤を支える建設業やインフラ整備関連の民間企業に就職する学生が多いです。また、同様の業種関係で、国や地方自治体へも卒業生を輩出しています 。大学院へ進学して、さらに深く学ばれる学生もいます。図:2023年~2024年における野尻湖湖心底層の溶存酸素濃度子供の頃から鉄道に興味があり(所謂テッチャンです)、時刻表を見ながら旅行気分に浸るのが好きでした。今は廃線跡などの写真を見ながら在りし日の路線に想いを馳せたりしています。好きなことをトコトンまで調べ想像力を膨らませると言う作業を、無意識のうちに子供の頃から繰り返してきましたが、それが学問を追求する姿勢と類似していたのかと思います。なお、今は水に関連する研究をしていますが、子供の頃、水に対する興味は全くありませんでした(土木には興味がありました。テッチャンですから!)。野尻湖はいつ来ても風光明媚でいいところ。湖心にロガーを設置して湖心で溶存酸素の濃度と水温を5分おきに計測しています。水環境・土木棟の屋上で太陽光による光分解実験を行いました。図:下水試料に含まれる蛍光物質とその光分解特性私たちの研究室では、水環境と人間社会の間に形成される「循環」に注目し、持続可能な水インフラの構築を目指した研究を行っています。上下水一体型の小規模分散型水循環システムの構築、湖沼底層の貧酸素化解明、放流先である河川・湖沼における下水処理水の挙動解析、といった研究活動を通じて、用排水システムの高度化や水質保全に貢献することを目指しています。研研 究究 シシ ーー ズ<<主主要要研研究究>>◼ 小規模分散型水循環システムの構築に資する発展的嫌気性MBRの開発◼ 野尻湖における高頻度観測による貧酸素水塊形成の要因解明◼ 下水に特異的に含まれる蛍光物質の光分解特性評価及び吸脱着特性評価<<構構想想中中>>◼ 地質学的要因による地下水汚染の実態把握◼ フッ素汚染地域における持続可能な現地型飲料水供給システムの開発◼ 長野県内の湧水・温泉水が有する水質の特性調査共同研究・外部資金獲得実績◼ 水処理用膜ろ過プロセスにおける溶存有機物の特性・動態調査(民間企業との共同研究)◼ 熱帯湖沼におけるラジカルの光生成とその炭素動態への影響の解明(科学研究費補助金[海外連携研究] 、分担)◼ 河川における下水処理水の拡散をマップ化するための基礎的情報収集(科学研究費補助金[基盤B]、代表)◼ 連続監視と網羅分析による水質事故の検知・対策手法の開発と流域モニタリングの最適化(環境研究総合推進費、分担)水水環環境境とと人人間間社社会会のの間間にに形形成成さされれるる「「循循環環」」のの最最適適化化をを図図るる研究から広がる未来卒業後の未来像最近の研究トピックス野尻湖湖心の貧酸素化についての原因を解明するため、溶存酸素濃度の高頻度観測を続けています。その結果、野尻湖で形成される水温躍層とその変動が貧酸素水塊に強く影響していることが分かりました。EEM法で検出される下水特有のピークについて、その正体を世界で初めて突き止めました。最近はこのピークの光分解特性が吸脱着特性を調べています。昨年実施した実験結果より、下水試料に含まれる複数の蛍光物質の光分解特性はそれぞれ異なることが分かりました。<参考文献>Komatsu K.et al. (2025) Identification of wastewater-specific peak on EEM and their application for detecting the effluent in the discharged area. Water Research, 275, 123213私の学問へのきっかけ教授 小松 一弘
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