生体内で分子認識や反応を司るタンパク質やDNAのような生体高分子を用いた、生体模倣的手法による材料の構造設計は、ナノ・サブナノレベルでの構造・機能を精密に制御できる点から、マイクロリアクターや分離材料、センサーなど、様々な応用が期待されています。研究活動を通じて、既存技術の問題点や研究・開発の目標を理解し、解決手段を考え、実際に実行できる、一連のスキルを修得し 、様々な分野において技術者・研究者として活躍していけるような教育を心がけています。特に、化学工学や界面化学、高分子化学に力を入れています。マイクロ流体デバイスを用いたゲル材料の精密加工 形状や物性が異方的に制御されたファイバーや粒子を容易に得ることに成功筑 波 大 学 を 修 了 後 、 神 戸大 学 特 命 助 教 、 信 州 大 学助 教 を 経 て 2025 年 よ り 現職 。 2019 年 化 学 工 学 会 研究 奨 励 賞 、 2020 年 ク リ タ水 ・ 環 境 科 学 研 究 優 秀 賞を 受 賞 。 専 門 分 野 は 生 物化学工学、界面化学。高校では「化学」 と「生物」 が好きで、生命の仕組みを利用したモノづくりがしたいと考えていました。大学で、細胞膜を人工的に再現した「リポソーム」の研究を行って い る 恩 師 と 出 会 い 、 ミ ク ロ な 世 界 に お け る 「 生 体 模倣」というアプローチに興味を抱きました。それ以来、細胞における物質生産を模倣したマイクロリアクターや、細胞膜の機能・構造を模倣した分離膜など、生体に学んだ機能性材料に関する研究を行っています。生体構造の模倣による材料開発 マイクロリアクターや人工細胞、医薬品、 食品、 分離膜、 センサー等、様々な分野への応用が期待されます。人工的に作製したカプセルを生化学反応場とした無細胞タンパク質合成システム分 子 構 造 を 精密 に 制 御 す るこ と で 、 最 新の ナ ノ 材 料 を用 い る こ と なく 、 従 来 の 水処 理 膜 の 透 水性 を 大 き く 超え る ( 数 倍 以上 ) 高 分 子 系水 処 理 膜 の 開発に成功生体の基本単位である細胞は、その構造、機能がともに人工物には見られない特異な性質を有しています。細胞膜は細胞内外の環境を分け、恒常性を維持するとともに、優れた分子認識能による物質透過などを行っています。また、細胞内部では、DNAや酵素などの様々な生体分子が、高度な物質生産を行っています。佐伯研究室では、生体材料と合成高分子などの人工材料を融合させることにより、生体構造・機能を再現あるいは模倣した、新たな機能性材料の創製や、プロセス設計について研究しています。◼ 脂質膜を用いた新規材料開発(分離膜、カプセル)◼ 高分子を用いた表面改質・新規材料開発◼ 水処理膜の高機能化(高透水性、耐ファウリング性、etc)◼ 水処理膜の新規用途開発(機能性物質の分離精製濃縮)◼ 微小空間での生化学反応の制御◼ マイクロ流体デバイスを用いた新規材料開発(液滴、粒子、カプセル、ファ◼ 分離膜の表面改質、新規分離膜の開発(民間企業との共同研究)◼ 製膜後開孔法による電気透析用ポリアミド膜の開発(ソルト・サイエンス研◼ 自己駆動する異方性ハイドロゲル粒子の作製(日揮・実吉奨学会研究助成)◼ 精密分子構造制御によるポリアミド水処理膜の孔径・膜性能制御(クリタ◼ 生体膜を模倣した超選択的イオン分離膜の創製(科研費 基盤研究B)◼ マイクロ流路を用いた生体高分子からなるハイドロゲルファイバーの形成と◼ 循環的な水利用および食材の有効利用により「水」と「食」の持続的プラットフォーム構築に貢献する基盤研究(JST COI若手連携研究ファンド)◼ ハイドロゲルをコアとした新奇ジャイアントリポソームの形成と形態制御◼ 生体膜を模倣した超高透水性逆浸透膜の創製(科研費 若手研究A、B)◼ バイオファウリング抑制のための逆浸透膜の表面設計(クリタ水・環境科学◼ ナノ粒子の自己組織化を利用した粒子積層型無機限外ろ過膜の開発(先端膜画像を配置画像を配置画像を配置生生体体模模倣倣にによよるる機機能能性性材材料料のの創創製製~~人人工工細細胞胞かからら分分離離膜膜ままでで~~私の学問へのきっかけ准教授 佐伯 大輔イバー)究財団)水・環境科学振興財団)形状制御 (本多英五郎研究助成金)(科研費 挑戦的研究(萌芽))振興財団)工学研究推進機構)研究から広がる未来卒業後の未来像研研 究究 シシ ーー ズ17最近の研究トピックス研究キーワード脂質二分子膜 ・ 生体模倣 ・ 自己組織化 ・ 高分子 ・ 微細加工 ・ 微粒子 ・ 膜分離 ・水処理共同研究・外部資金獲得実績
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