工学部研究紹介2026
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12私私のの学学問問へへののききっっかかけけ教教授授 酒酒井井 俊俊郎郎(株)コンポン研究所・ニューヨーク州立大学・東京理科大学・信州大学ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点助教・信州 大 学 工 学 部 准 教 授 を 経 て 、2019年より現職研究分野:コロイド・界面科学コロイド・界面科学との出会いは、大学4年次の卒業研究になります。当時、卒業研究テーマの意味や意義は全く分かりませんでしたが、その研究を現在も続けています。その理由は、「自然界には多くの不思議があり、その不思議を理解したい。分からないことを知りたい、明らかにしたい。」という極めて単純な理由です。卒業研究(コロイド・界面科学)との出会いにより、現在の自分があると感謝しています。コロイド分散系は、自然界、生体における重要な構成要素です。そのため、コロイド分散系は、様々な産業分野、例えば、『化粧品』『医薬品』『食品』『農薬』『塗料』『洗浄剤』『触媒』『表面加工』分野などで活用されています。企業で 化粧品開発を行っている卒業生と一緒に化粧品づくり体験実習を行っています。水中に油滴が分散しているエマルションの光学顕微鏡像エマルションは、化粧品、 食品、 医薬品分野などで利用されています。最最近近のの研研究究トトピピッッククスス■ 【化粧品】乳液やローションなどの化粧品は油と水が混合した液体『エマルション』です。しかし、油と水は混ざり合わないため、一般に界面活性剤を用いて油と水は混合されます。私たちは超音波を用いることにより界面活性剤を一切使用せず油と水だけで乳化する技術(エフィ)を開発しました。『信州コスメラボ』を立ち上げ、人にも地球にも優しい安心・安全な化粧品づくりを目指しています。■ 【洗浄剤】一般に洗浄剤に含まれる界面活性剤を使用しなくても、二酸化炭素バブルにより油汚れが洗浄できることを発見しました。地球にも優しく、宇宙でも洗濯できる技術の開発を目指しています。■ 【プロセス】超音波を照射した水『超音波水』が化学反応することを発見しました。『超音波水』に塩化金酸水溶液を添加すると、溶液中に塩化金イオンが還元されて、金ナノ粒子が生成することが明らかとなりました。■ 【プロセス】金属塩溶液に部材を浸漬して超音波を照射すると溶液中の金属イオンが還元されて、金属ナノ粒子が部材表面に析出して金属コーティングできることを発見しました(ソノケミカル金属コーティング(SoMeCo)法)。■ 【プロセス】樹脂の金属イオン還元作用を利用して、金属ナノ粒子を樹脂内に埋め込む方法(ReRIMEm)法)を開発した。樹脂を金属塩溶液に所定温度で所定時間、浸漬するだけで樹脂内に金属ナノ粒子が生成し、樹脂内に金属ナノ粒子を埋め込み複合化することができることを発見しました。■ 【環境・リサイクル】超音波と活性炭を組み合わせることにより、水中に溶存している貴金属イオンを90%以上回収することに成功しました。付加的な化学薬品を使用していないことから、二次汚染もなく、高純度の貴金属を回収することができます。QRを配置画像を配置画像を配置画像を配置地上の70%、体内の70%が水と言われていますが、均一な溶液はほとんど存在せず、その大半が分子集合体や液滴、固体粒子が分散したコロイド分散系です。すなわち、自然界や生体は、コロイド分散系から構成されていると言っても過言ではありません。コロイド分散系は、液体中に微小空間を形成していることになります。酒井研究室では、この液体中の微小空間(ミセル・液滴・気泡)を利用して、ナノメートル(nm)(10億分の1メートル)~マイクロメートル(mm)(100万分の1メートル)サイズの材料創製に取り組んでいます。顔写真を配置顔写真を配置研研 究究 シシ ーー ズズ■ 【化粧品・食品・医薬品・洗浄剤・塗料など】乳化(エマルション)・分散・界面活性剤・乳化剤(界面活性、両親媒特性、自己組織化)■ 【エレクトロニクス・触媒など】金属ナノ粒子の合成と金属コーティング・樹脂-金属複合化■ 【機能性材料】乳化重合・懸濁重合によるポリマー粒子の合成■ 【エネルギー】熱エネルギー貯蔵材料(蓄熱材・蓄冷材)■ 【環境・リサイクル】水質浄化材料(吸着材、触媒など)およびシステム(廃液処理)■ 【プロセス】超音波技術(分散、洗浄、化学反応、霧化)共共同同研研究究・・外外部部資資金金獲獲得得実実績績■ 粒子表面上での金属ナノ粒子の自己形成・自己集積パターニング技術の開発(科研費:基盤研究C)■ バブルを利用した金属中空微粒子の作製技術の開発(科研費:基盤研究C)■ 精油を分散質とした水中油滴型(O/W)エマルション忌避(虫よけ)剤の開発(科研費:基盤研究B)■ 高純度金属ナノ粒子担持マイクロ粒子の製造技術の開発(JST:研究成果最適展開支援プログラムA-STEP)■ ゲルボールエマルション蓄熱・輸送流体の空調システム実装に向けた研究(JST:研究成果展開事業A-STEP機能検証フェーズ)■ 乳化剤フリー油中水滴型(W/O)エマルションの分散安定化機構の解明と分散安定化技術の開発(コスメトロジー研究振興財団)■ 界面活性剤を用いない二酸化炭素バブル洗浄の開発(JAXA宇宙探査イノベーションハブ事業:花王、JAXAとの共同研究)■ 界面活性剤を使用せずに香りを閉じ込めるアロマエフィの事業化検証(JST:研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム(START)プロジェクト推進型 ビジネスモデル検証支援)研研究究キキーーワワーードド乳乳化化 ・・ エエママルルシショョンン ・・ 界界面面活活性性剤剤 ・・ 洗洗浄浄 ・・ ナナノノ粒粒子子 ・・ 金金属属ココーーテティィンンググ ・・ 樹樹脂脂--金金属属複複合合化化 ・・ 貴貴金金属属回回収収 ・・ 虫虫よよけけ剤剤 ・・ 蓄蓄熱熱材材 ・・ 超超音音波波化化学学ココロロイイドド・・界界面面科科学学がが拓拓くく未未来来~~地地球球ででもも宇宇宙宙ででもも快快適適生生活活~~研研究究かからら広広ががるる未未来来酒井研究室では、『必要最小限の原料から必要なものを簡単に作り出す』を目標にコロイド材料の製造技術の開発に取り組んでいます。例えば、「乳化剤を使用しない乳化技術(エフィ)」「超音波を利用した金属コーティング(SoMeCo)法」を開発しました。これらは、近年の環境問題やエネルギー問題などを解決し、次世代の材料創製技術になりえるものと期待しています。卒卒業業後後のの未未来来像像O/W

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