工学部研究紹介2026
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109図 :DNA ス ト レ ー ジ に対 す る 誤 り 訂 正 符号 化(効率的かつ化学的に安定する塩基配列生成方法や、高速な再構成方法等を研究)図:論文賞受賞の記念として授与された賞牌↑ LDPC符号を定義する2部グラフ構築← LDPC符号パラメータ設計のための漸近性能解析高高密密度度・・高高信信頼頼・・高高寿寿命命――符符号号化化技技術術でで支支ええるる情情報報のの未未来来――実世界とサイバー空間の融合が進む未来において、データの高速・ 高信頼な伝送と、 大容量・ 高密度・長寿命なデータ保存は必要不可欠です。私の研究室では、 未来の世界を支える次世代の誤り訂正・ 検出技術の開発を目指しています。研究活動は、 専門知識とスキルの獲得に加え、問題解決能力、分析・批判的思考、コミュニケーション力などのライフスキルの獲得にも貢献します。これにより、どんな職場・立場でも優れたパフォーマンスを発揮できる人材に成長することが期待されます。2020年 東 京 理 科 大 学 大 学院 工 学 研 究 科 修 了、 博 士( 工 学 ) 。 同 年 同 大 学 工 学部 情 報 工 学 科 助 教 。 2023年より現職。符 号 理 論、 特 に 確 率 推 論と 疎 行 列 に 基 づ く 誤 り 訂正符号の研究に従事。子どもの頃は科学の本が好きで、 よくページをめくっては眺めていました。ところが高校で理系に進んだものの、実は理数系の科目はあまり得意ではなく、 「将来は理系とは違う道に進もう」と思っていました。 それでも工学部に進学し、 研究に取り組むことになりました。受験勉強とは違い、 大学での研究には必ずしも正解があるわけではありません。そんな中で、「自分で問いを立て、自分でゴールを決める」 ことの自由さと面白さに魅了され、気がつけば今の道を歩んでいました。「挿入・削除誤り訂正」:次世代情報通信システム (例えば、DNAデータストレージ) では、データ挿入や削除 (下図) により同期ズレが生じ信頼性が大きく低下します。このような誤りに適した誤り訂正符号、確率的な同期法 (挿入・削除位置の推定)、及び確率伝搬法に基づく復号法を開発しています。「符号設計・構築」:伝送路の特性に合わせた誤り訂正符号のパラメータ設計や符号構築を目指しています。特に、5Gで使われているLDPC符号やPolar符号を扱っています。「その他」:物理層セキュリティ技術・多重アクセス方式のための符号化法、深層学習技術に基づく符号化法等を開発しています。QRを配置現在、生成されるデータは飛躍的に増加しており、データ通信量や蓄積データ量の要求も指数関数的に増加することが予想されています。柴田研究室では、高速・高信頼なデータ伝送と、大容量・高密度・長寿命なデータ保存を実現する次世代情報通信システムの構成要素となる、誤り訂正・検出技術の開発を目指しています。特に、次世代ストレージ (例えば、DNAストレージ) へのモダンな誤り訂正符号の適用や、符号化を利用した物理層セキュリティ技術、深層学習技術を活用した誤り訂正符号等の研究に注力しています。 誤り訂正符号化システムの開発 (モデル化、及びその解析) 確率伝搬法 (Belief Propagation) に基づく復号アルゴリズム データ挿入・削除誤りに対する確率的同期アルゴリズム LDPC (Low-Density Parity-Check) 符号/空間結合符号/Polar符号 DNAストレージに対する現代的な符号理論の展開 (科研費若手、 同期誤りと雑音誤りに対する万能な符号化技術の構築 (科研費若手、 次世代情報通信システム向け誤り訂正符号の開発 (他大学との共同【受賞】電気通信普及財団、第35回 電気通信普及財団賞 (2020年)電子情報通信学会 第76回 論文賞 (2020年)電子情報通信学会 SITAサブソ、SITA若手研究者論文賞 (2020年)電子情報通信学会 通ソ、第17回通信ソサイエティ論文賞 (2022年)【社会貢献】電子情報通信学会 情報理論研究専門委員会、委員 (2021年~)画像を配置私の学問へのきっかけ助教 柴田 凌顔写真を配置研研 究究 シシ ーー ズの性能解析・符号設計・符号構築共同研究・外部資金獲得実績2021年~2023年)2024年~2026年)研究、2023年~)最近の研究トピックス研究から広がる未来卒業後の未来像研究キーワード符号理論・符号設計・確率伝搬法・確率的同期法・次世代ストレージ

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