工学部研究紹介2026
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意思決定に対して数理的な視点から適切な評価を与えることが研究の目標になります。数理的な評価指標に従えば、再現性をもって正しい選択を行うことが期待できます 。あるいは、評価指標に基づいて自動的に選択を行うことで、リソースの節約につながります。研究を通して、数理的な観点から物事を俯瞰し、客観的な判断を下す能力を身に着けられるはずです。また、意思決定の応用先は工学だけでなく経営学など多岐にわたるため 、分野を選ばずアピール可能です。京 都 大 学 大 学 院 を 終 了 後 、大 和 大 学 技 術 職 員 を 経 て 、2024 年 よ り 現 職 。 博 士( 情 報 学 ) 。 専 門 は 確 率モ デ ル な ら び に ネ ッ トワーク科学。私が今の専門を選んだのは、単純に研究室配属の影響です。学部4年生の研究室配属時点では、 もともと最適化系 の 研 究 室 を 緩 く 希 望 し て い た の で す が 、 配 属 希 望 をしっかり考えるときに、意思決定に対して魅力を感じていることに気付きました。そこで、自分の興味により直接的に関わる確率モデル系の研究室の説明会に希望を変更しました。私はこの変更を英断だったと思っています。進路を決めるときには、今一度自分が何に魅力を感じているかを考えてみるとよいと思います。研究の基本的なモチベーション。期待値や破産確率は この例に限らず強力な判断基準 である。状況に応じた判断基準を考えて導出することが研究のゴールである。ものごとの重要さを決めるときに、「重要なものに評価されるものは重要である」と考えると、循環参照的な問題が生じる。PageRankを使えばこの問題を解決してランク付けができる。定常分布の数値計算で発生する誤差を解析し、適切な切断パラメータの定め方を提案ネットワーク構造を持つシステムの各要素の重要度をランダムサーファーモデルによって導出QRを配置画像を配置画像を配置大内研究室では、確率モデルを通して、不確実性を含むシステムを適切に評価することを目指した研究をしています。不確実性があると、良い結果が得られたとしても、ただ運が良かっただけなのか本当に優れた手法だったのかを結果だけから判断することはできません。特に複雑な現象になると, どうしても勘と経験から「良さそう」なものを選ぶことになってしまいがちです。研究の目標は、この「良さそう」に数理的根拠を与えることです。顔写真を配置研究シーズ◼ マルコフ連鎖の定常解析◼ マルコフ連鎖の切断近似による誤差の解析◼ マルコフ型到着過程による確率過程の近似手法◼ PageRankによるランク付け手法◼ 待ち行列ゲームの均衡解析◼ 最小全域木問題を拡張した問題に関する研究共同研究・外部資金獲得実績特になし最近の研究トピックス◼ M/G/1型マルコフ連鎖に対するレベル増分切断による誤差の解析と切断パラメータの設定基準の提案◼ 不可算状態空間上のマルコフ型到着過程によるマーク付き点過程の近似手法◼ PageRankによる戦略評価108不不確確実実なな情情報報にに基基づづくく最最適適なな意意思思決決定定研究から広がる未来卒業後の未来像私の学問へのきっかけ助教 大内 克久研究キーワード確率モデル ・ マルコフ連鎖 ・ 待ち行列 ・ ネットワーク科学 ・ 行列解析

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