人文学部研究紹介2025-2026
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2000~2007年,豊田市美術館学芸員。2007年より信州大学人文学部准教授。2017年より同教授。2017~2018年,ヴェネツィア大学哲学文化財学科客員研究員。2019~2024年,愛知県立芸術大学客員教授。日印文化協定締結50周年記念美術展(国際交流基金主催)キュレーター(2007年),あいちトリエンナーレ2016共同キュレーター。【論文】「不完全に添う」金井直,『小沢剛 不完全―パラレルな美術史』(千葉市美術館展覧会図録pp.26-30,2018年。岡倉天心の語る「不完全」の美学的背景を確認しつつ,その語をもって美術史と石膏像受容史にアプローチする小沢剛の制作の可能性について,明らかにしました。【著書】『像をうつす 複製技術時代の彫刻と写真』金井直(単著),赤々舎,2022年。約200年にわたる彫刻と写真の関係について,5つの章を立てて論じました。【著書】『彫刻の問題』白川昌生,金井直,小田原のどか(共著),トポフィル,pp.72-93(「代わりとしてのモニュメント,モニュメントの代わり」),2017年。モニュメントを論ずることで,近代彫刻史の読み直しを試みました。同時に,歴史事象の表象可能性についても考察。【著書】『自然の鉛筆』畠山直哉,マイケル・グレイ,青山勝,ヘンリー・トルボット,金井直,ジュゼッペ・ペノーネ(共著),赤々舎,pp.64-75(「写真と彫刻あるいは互恵性」),2016年。彫刻と写真という異なる芸術ジャンルの親和性と,写真技術の確立に彫刻が果たした役割について論じました。【翻訳(共訳)】『ART SINCE 1900』H・フォスター他,東京書籍,2019年。現代美術史の基本図書です。美学美術史学哲学・芸術論コースはじめに凡  例主要学術研究業績●研究分野●現在の研究テーマ1. 彫刻を考えなおす~18世紀後期から19世紀初めにかけて活躍した彫刻家アントニオ・カノーヴァの作品研究を起点に,複製・表面・受容・制度など,彫刻をめぐる多様な論点について,調査・研究・発言をおこなっています。その対象は古代彫刻から近現代彫刻,インスタレーションまで広範ですが,最近はとくに石膏像の歴史と機能,近代的なモニュメントの出現・展開について関心をもって研究しています。 2. 現代美術と切り結ぶ~元美術館学芸員という経歴・経験を活かしつつ,展覧会への協力や,現代美術に関する批評・執筆をおこなっています。3. ミュージアムと歩む~学芸員資格関連科目を担当する一方,長野県内の博物館・美術館の運営に多角的に協力。実践的に博物館の歴史・現在・将来について,考察・発言しています。研究から広がる未来と将来の進路金井 直 教授 美術を学ぶということは,たんなる趣味や娯楽の一領域ではありません。さまざまな時代・地域の創造的な経験にふれることで,現在の私(たち)を見つめ直す大切な契機を獲得することです。美術が培う多様性や差異への愛情は,寛容な社会,開かれたコミュニティづくりにも欠かせない要素でしょう。※この冊子に掲載された情報は2025年4月時点のものです。教員の研究活動を紹介しています研究から広がる未来や将来の進路が書かれています教員のプロフィールと研究業績信州大学人文学部は、信州の自然の織りなす四季のもと、歴史ある都市の文化と生活のなかで、時代や人間をみる確かな目と、他者や自然と共生できる豊かな感性を育む教育を行います。複雑多様化し混迷する現代社会のあらゆる局面で、不断に根源的な思索を試み、それらに批判的・創造的にかかわっていくことのできる「実践知」を身につけた、新しい時代の人文人を育成します。この冊子は、人文学部教員が取り組む研究内容と、それを学生が学ぶことで広がる未来、卒業後の進路について紹介したものです。人文学部に興味のある皆様に研究の魅力をお伝えできるよう願っております。高校生や大学受験を志す皆さんには、進路選択の参考にしていただければ幸いです。信州大学人文学部長

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