人文学部研究紹介2025-2026
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●研究分野●研究分野主要学術研究業績主要学術研究業績 2004-2007, 信州大学人文学部 助教授 2007-2015, 信州大学人文学部 准教授 2015-, 信州大学人文学部 教授 学位論文: La structure symétrique et la composition eurythmique de deux comédies d'Aristophane: Les Acharniens et Les Oiseaux (フランス国立リモージュ大学 2003). 著書: 『ギリシア喜劇全集 1, 4, 8, 別巻』(共著, 岩波書店 2008-11).『羅和辞典』(共著, 研究社 2009),『ラテン語名句小辞典』(単著, 研究社 2010). 『ラ・トゥール ― フランス語初級文法と会話』(共著, 駿河台出版社 2013). 『西洋古典のすすめ : シリーズ・ヨーロッパの文化 2) 』(共著, 成城大学, 2015). 学術論文: "アプレイウス『変身物語』とプラトンのテキスト",『ギリシア哲学セミナー』18, 66-82 (単著2022). "Some Questions on the Acharnians of Aristophanes: Names of Amphitheos and Dicaeopolis", Dancing Wisteria: Essays in Honour of Professor Masaaki Kubo on his Ninetieth Birthday, 301-309, (単著 2020). "Miyagi's Antigones, Three Productions: Tokyo 2004, SPAC May 2017, and Avignon July 2017, Συναγωνίζεσθαι, Studies in Honour of Guido Avezzù, Skenè Studies I-1, 881-922 (Adele Scafuro氏との共著 2019). 「基盤研究(C) 2017-2019日本におけるギリシア演劇の受容と世界的発信に関する実証的総合研究」,「基盤研究(C) 2020-2022日本におけるギリシア悲劇の受容形態と世界的発信に関する実証的総合研究」,「基盤研究(C) 2023-2025日本における古代ギリシア演劇の受容と世界的発信に関する実証的・実践的総合研究」日記の私―ローベルト・ヴァルザーの「日記」について(『詩・言語』82号,2016年)    ヴァルザーの遺稿中のテクスト『1926年の日記・断片』は普通の意味での日記ではない。このテクストの語り手は自らの体験を虚飾なく語ることを目指すのだが,絶えずその可能性について自己反省し,本来の目的から逸脱する。このようなテクストから通常の日記に期待される書き手の体験や心情の真率な描写を見出すことはできないが,その描写可能性をめぐる描写が精確に描かれているという点において,「日記」と呼ばれ得ると論じた。物語と想起―ギュンター・グラスの詩学について(『武蔵野美術大学研究紀要』45号,2015年)    ギュンター・グラスの『ブリキの太鼓』『犬の年』そして『蟹の横歩き』における想起および物語行為を,アライダ・アスマンの文化的記憶理論,とりわけ「蓄積的記憶」と「機能的記憶」の相互関係に関する理論を援用しつつ,それが既存の歴史ないし勝者の歴史を動揺させるダイナミックなものであり,グラスの詩学において重要な要素であることを論じた。151987年千葉県生まれ。立教大学文学部卒業,東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了,同博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。オーストリア政府給費留学生としてグラーツ大学留学(2015~2017年)。武蔵野美術大学,東京工業大学非常勤講師等を経て,2018年2月より信州大学人文学部助教。2021年6月より現職。 西洋古典の学習・研究にはギリシアとラテン語のみならず英語,仏語,ドイツ語等,近代語の能力が不可欠。狭義の文学だけではなく哲学・歴史・宗教・科学・政治・法律・科学に対する深い理解が必要。周囲の無責任な発言に惑わされることなく,本物の広い教養を身に着け世界に通用する人間になれば自ずと道は開けるでしょう。 外国語の文学を詳細に読むこと,研究することがどのような役に立つのか,訝しく思われる方も少なくないでしょう。しかし,グローバル化,情報社会化さらには目まぐるしく変化する世界情勢の中にある我々にとって,新たな情報や状況を柔軟に分析し思考することは極めて重要なことです。外国語文学を読むということは,そのような能力を身に着ける恰好の場であり,より豊かな未来への入り口となります。●現在の研究テーマ1. 古代ギリシア演劇,特に前5世紀の喜劇詩人アリストパネース。特にアリストパネースの喜劇作品の韻律とリズムの構造を,個々の作品全体2.西洋古典文学の研究。特にホメーロス『イーリアス』とアープレーユス『変身物語』。3. 文学言語としてのラテン語の発生と発展の歴史。ラテン語を古代ローマの言語としてではなく,ヨーロッパを造った文学言語・文化言語・普遍語として捉え,ヨーロッパ文学と西洋の様々な文化の起源を,中世のラテン語文学と古代ローマの古典ラテン語文学を経て,古代ギリシアのホメーロスまでさかのぼる比較文学・比較文化・受容史的研究。4. 近代日本におけるギリシア演劇の受容研究。「基盤研究(C)2017-2019 日本におけるギリシア演劇の受容と世界的発信に関する実証的総合研究」野津 寛 教授●現在の研究テーマ1.ローベルト・ヴァルザー研究:    スイスの作家ローベルト・ヴァルザー(1878-1956)の作品,とりわけその文体の機能と成立背景を研究しています。近年ヴァルザーの作品は研究対象として注目されるようになっただけではなく,日本語を含めた様々な諸言語に翻訳され多くの読者を得ていますが,生前はそうではありませんでした。ごく限られた読者の中にはしかし,ヘルマン・ヘッセ,フランツ・カフカ,ヴァルター・ベンヤミンといった重要な作家・批評家が含まれています。彼らを中心とした同時代の文人たちとの比較も研究の対象としています。2.文化的記憶としての文学:    過去の記憶は,公的な歴史記述の中にだけ存在するものではありません。様々な文化的現象の中にもその記憶を見出すことは可能であり,葛西 敬之 准教授に則して明らかにすること。「基盤研究(C)2007-2008 古代ギリシア演劇における演劇構造と本文校訂の研究」研究から広がる未来と将来の進路しかも時には公的な歴史的言説とは対立する形で立ち現れます。文学がそのような文化的記憶としてどのような役割を果たし得るか研究しています。研究から広がる未来と将来の進路西洋古典学・ギリシア語・ラテン語近現代ドイツ語文学比較言語文化コース比較言語文化コース

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