農学部研究紹介2025-2026
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北海道大学博物館 産官学連携研究院等を経て2009年4月より信州大学農学部。人工林生態系の生物多様性創出、生態系サービスの制御、そ の 地 域 活 用 を 目 的 と し た『人の関わる森林生態学』に関心がある。根粒植物はバクテリアやカビなどと共生している最新の手法を駆使して植物微生物共生を研究している菌根人工林でも間伐により生物多様性を高められる。このような人工林は、より充実した生態系サービスを発揮できるが、コストも高い。山地帯から樹木限界までの植物分布は、20年前よりも標高50m上方にシフトしていた。森林は地球温暖化のセンサーになっている。齋齋藤藤 勝勝晴晴 教教授授博士研究員を経て2006年7月より信州大学農学部。植物微生物相互作用の植物栄養学的側面に関心があり、保全農業への応用を目指している。城城田田 徹徹央央 助助教教⼭岳圏森林・環境共⽣学コース兼任⾷料⽣産システム科学コース兼任⼟壌⽣物学研究室造林学研究室私たちは森林生態学の立場から、変動する地球環境のなかで、森林と人間との関わり方を考えるための研究を行っています。森林生態系を理解する研究や、森林生態系を制御する技術開発を通じて、循環型社会の創出に寄与できます。私たちがターゲットとしている中山間地域は小さな自治体ですが、それは科学的な研究成果を政策に反映させ易いアクティビティの高いフィールドともなっています。森林生態系をモニタリングする能力、樹木の種を同定する能力、樹木の生き方を理解する能力が身に付きます。これらの科学的能力は、公務員や環境コンサルタントの分野において森林計画の策定と実行に活用されます。研究から広がる未来もともと別々に生活していた生物同士が、どのようにして共生を始めたのか?植物は微生物からどうやって養分をもらっているのか?私たちはそれらに答えるために、遺伝子や細胞、フィールドレベルで解析を進めています。このような基礎的な研究から、保全農業への共生の利用について考えています。卒業後の未来像土壌生物学の研究を通して、資料調査・課題抽出・計画立案・課題遂行・報告の一連を習得し、課題に取組む能力を向上させることが出来ます。卒業後、農業生産・指導、食品会社等で活躍出来る人材を目指します。研究から広がる未来卒業後の未来像化学肥料や農薬を使う量を減らし環境への負荷を低減することは現在の農業において重要な課題の一つです。また、農地から排出される温室効果ガスをいかに低減するかも大きな課題です。私たちは植物と微生物との共生に注目し、生物の持つ能力を最大限に引き出すことで環境に配慮した生物生産に貢献することを目指しています。研究対象は、植物のリン酸吸収促進に関わる菌根共生(多くの植物種と菌類の共生)や生物窒素固定に関わる根粒共生(マメ科植物と細菌の共生)です。造林学研究室では、森林の持つ諸機能を適切に発揮させ、生態系サービス(=自然の恵み)を享受することを目的に、樹木の挙動や森林の動態を、立地条件との関係から長期的に調べています。森林生態系は巨大なバイオマス、複雑な空間構造、多様な生物の相互作用によって特徴付けられる生態系です。その振る舞いを科学的な観点から観測し、地球温暖化の影響や、間伐等の施業の影響を抽出することで、森林生態系のグローバルな役割を長期にわたって維持させ、より良い人間社会の構築に寄与させることを、私たちは目指しています。地域協創特別コース地域協創特別コース共⽣微⽣物から保全農業を探求する『⾃然の恵み』を持続的に享受する〜森林⽣態系と⼈間の営みの科学〜32

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