研究室所蔵の植物さく葉標本。北海道から九州まで、海岸・水域から高山に至るまでの植物を採集・保存し、教育研究に活用している。ヤマブドウ果房の調査(右上)、マタタビ果実の調査(右下)。富士北麓における植生調査のひとコマ(左)。自動撮影カメラから様々な野生動物を撮影し、その生態や人間活動との関係性を解明しています。テレメトリー調査やスポットライトカウント調査から野生動物の生息数や行動範囲を調査し、野生動物問題の解決に取り組みます。荒荒瀬瀬 輝輝夫夫 准准教教授授帯広畜産大学大学院修了、京都大学大学院博士後期課程中退。民間企業を経て、2003年より信州大学農学部に赴任。博士(農学)、博物館学芸員。フィールドにおける植物分類・生態、統計学関連の教育研究に携わる。池池田田 敬敬 助助教教東京農工大学で学位取得後、国の研究機関、岐阜大学を経て、2024年4月より現職。専門は、野生動物管理、動物生態学。野生動物による問題の解決に貢献する研究を進めています。野⽣資源植物学研究室野⽣動物管理学研究室研究から広がる未来未利用・低い利用の野生資源植物の中には、すぐれた特性を有するものが数多く埋もれています。当研究室では、現在のところヤマブドウ・サルナシ・マツブサ・ウワミズザクラ(食用)、マタタビ(薬用)、陸生スゲ類(緑化)などを扱っており、採集・栽培・加工による地域産物化や、資源量の評価につながると期待されます。また、伊豆諸島の台風崩壊地に調査地を置くほか、大学構内に造成したビオトープを管理しており、長期にわたる調査をもとに緑化や植生回復の技術に一石を投じることが期待されます。卒業後の未来像植物分類・植生調査・資源評価の知見と技能をもとに、自然環境関連の公務員、教員、食品・緑化・環境アセスメント等の業界で活躍することが期待されます。研究から広がる未来近年、シカやイノシシなどの大型哺乳類は、生息数が全国各地で増加し、分布が拡大しています。その結果、これら野生動物による問題は、農林業被害だけではなく、市街地や国立公園での人身被害、高山帯での生態系被害などが発生しています。当研究室は、研究室での取り組みを通して、「個体数管理」、「生息地管理」,「被害管理」の3つの概念を理解した人材を、研究者だけではなく行政や民間企業に輩出することを目指しています。卒業後の未来像研究室やフィールドでの調査研究を通して、論理的な思考だけではなく、人間力の身に付けるような指導を心掛けています。これらの能力を高めることで、野生動物問題に取り組む研究者だけではなく、行政や民間企業などでの活躍が期待されます。B野生資源植物学研究室では、樹木だけでなく草本・シダ植物も対象として、食用・薬用・緑化(植生回復)など「野生植物を資源として活かす視点」で教育研究を進めています。そのための基礎として、植物の分類地理・生態の把握と特性の評価に取り組んでいます。鳥獣害や種子散布者としての位置づけで鳥類なども研究対象としています。常に農学を意識し、広い視野で問題に取り組むため、普段から他研究室と連携していることも大きな特色です。また、もともと農場・演習林を管轄する組織(AFC)にあったことから、これら学内フィールドの管理運営にも深く関わっています。「孫子」に、「彼れを知り己を知れば百戦殆(あや)うからず。彼れを知らずして己れを知れば、一勝一負す。 彼れを知らず己れを知らざれば、戦う毎に必らず殆うし」という節があります。人間と野生動物は敵味方ではありませんが、野生動物の生態を把握するだけではなく、人間側の現状も把握しなければ、野生動物管理を適切に実践することはできません。当研究室は、信州の地の醍醐味である、山岳環境から森林、農地、市街日におけるフィールド調査を中心とし、野生動物の生態を把握しつつ、野生動物管理に直結する研究を目指します。⼭岳圏森林・環境共⽣学コース⼭岳圏森林・環境共⽣学コース⾷⽤・薬⽤から緑化まで野⽣の資源植物を学ぶ・活かす野⽣動物問題を考える〜⽬で⾒て、肌で感じるフィールド科学〜22
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