精巣細胞を酵素でバラバラに解離すると様々な細胞が得られる。ブタ精原細胞特異抗体で染色すると、生きた精原細胞を蛍光色素で染めることが可能である。FACS分取装置で分離が可能で、精原細胞のみを単離できる。この細胞だけを培養して精子を形成させる研究を進めているブタ精子の運動性を評価するために、高輝度LEDと超高速ビデオカメラを用いて、精子鞭毛の動きを解析するシステムを開発した。また、同システムを利用しながら精子の保存条件を種々検討している行動観察から家畜の身体的、精神的状態を把握し、調査牧場におけるアニマルウェルフェアレベルを評価しています。幼若ブタ精巣の精細管組織の画像。精細管の中で精子が形成される。精原細胞特異抗体により精原細胞のみを染色することが可能だ家畜の状態を把握するためのIoT機器を首に装着し、いつでも、どこでも、だれもが、広大な放牧地に放されている家畜の様子が分かるシステムの開発に取り組んでいます。高高木木 優優二二 准准教教授授1990年信州大学農学部助手を経て、1999年より現職。この間、山梨県酪農試験場客員研究員を併任。専門は動物生殖学。哺乳動物の受精卵の美しさに魅了され研究の世界へ。近年は精巣を中心に研究を行っている。竹竹田田 謙謙一一 教教授授2000年信州大学農学部助手、准教授を経て、2024年より現職。この間、山梨県酪農試験場客員研究員、富山県畜産研究所客員研究員、等を併任。専門は応用動物行動学、家畜管理学。アニマルウェルフェアに配慮した家畜管理技術の研究を進めています。地域協創特別コース兼任⾷料⽣産システム科学コース動物⽣殖学研究室動物⾏動管理学研究室研究から広がる未来動物生殖学研究室では、生殖細胞をとおして生命現象を解明する基礎研究を行っています。また、得られた知見を応用することにより、人類の発展に寄与することを目指しています。精原幹細胞を、幹細胞の能力を維持しながら自由に増やすことが出来れば、体外での精子形成や、精原幹細胞の精細管への移植により生体での精子生産が可能となり、遺伝子改変など生殖細胞の人為操作がより容易なものになるものと思われます。さらに、ヒト男性不妊の新たな治療法の開発にも貢献できます。精子をはじめ生殖細胞の保存に関する研究の進展により、常温保存など全く新たな保存方法への応用が期待されます。卒業後の未来像組織培養や生化学実験を通して、実験動物の取り扱いやバイオテクノロジーに必要な技術が身につきます。また、自ら立案し試行錯誤を重ねながら研究を進める力を養うことが出来ます。卒業後は製薬会社、食品会社、不妊治療を専門とする産婦人科の胚培養士として活躍出来る人材になります。研究から広がる未来卒業後の未来像私たちの暮らしは、様々な点で、動物たちと関わっています。例えば、「Happy Cow, Happy Life」で表される様に、幸せな生活環境で飼育されている乳牛は乳量も多く、生産されたミルクの質も高いので、私たちの生活の質を向上します。動物の飼養管理システムの構築は、動物行動学のみならず、多面的なアプローチを必要としています。卒業生は自ずと、目前の事象を多面的に捉える能力を身に付けます。卒業後は、技術指導者、専門機関での動物飼育管理者等として活躍できる人材として社会に飛び立ちます。近年、生産者1戸あたりの家畜飼育頭数が増加傾向にあります。右の写真のように家畜の状態を精密に監視するためには多大な時間と労力を要します。私たちの研究室では、動物とは縁遠い様々な分野の企業との共同研究を進めていますので、卒業論文、修士論文を通じて、畜産分野の新たな展開を自分の目で確かめ、経験することができます。動物生殖学研究室では、マウスをはじめブタやウシなどの哺乳動物の卵子や精子、性ホルモンなど生殖や繁殖に関する研究を行っています。特に、精子のもとになる精原幹細胞(Spermatogonial Stem Cell)の様に多能性・多分化能を維持した細胞に関心があり、これらの細胞を用いた基礎研究や応用研究を進めています。また、精子の低温・常温保存技術および卵子のガラス化保存ならびに非凍結低温保存技術の開発も行っています。 これら生殖に関する生命現象を解明し、動物生産やヒトの不妊医療への応用を目指しています。皆さんは、「ソロモンの指輪」って知っていますか? ソロモン王が動物たちと話すときに使う道具のことです。しかし現実の世界に、そのような指輪は存在しません。ヒトと言葉を交わすことができない動物の気持ちを理解できる唯一のツールが動物行動学です。私たちの研究室では、ウシやヒツジといった農用動物(家畜)を対象に、彼らが身体的、精神的苦痛を少しでも感じることなく生活できる状態(アニマルウェルフェアと言います)を把握し、良好なアニマルウェルフェア状態となるような飼育方法の開発、提案を目指しています。15動物の快適な⽣活環境の創造を⽬指して〜精密家畜管理学の世界〜⾷料⽣産⾷料⽣産システム科学コースシステム科学コース⽣殖細胞を⽤いて⽣命現象に切り込むアニマルバイオテクノロジー
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