宿主細胞を殺し、栄養を摂取する10m地域未利用資源の飼料化(ヤマブドウ粕のサイレージ)長大型飼料作物ソルガムの栽培利用で土地資源を有効活用した自給飼料生産放牧による省力的な家畜飼養炭疽病菌等の植物病原糸状菌(カビ)はそれぞれの宿主植物の免疫系を抑制して感染するウリ類炭疽病菌が感染したキュウリの葉(左)緑色蛍光タンパク質で可視化したカビの活物寄生型侵入菌糸(右)今今井井 裕裕理理子子 助助教教琉球大学(鹿児島大学大学院連合農学研究科)で学位取得後、企業勤務を経て、2020年4月より現職。専門分野は草地学、飼料学。入入枝枝 泰泰樹樹 准准教教授授博士研究員を経て2016年10月より信州大学農学部。糸状菌(カビ)と植物の感染・防御機構を解明する研究に取り組んでいる。両者の生物間相互作用に着目した病害防除法の開発に繋げたい。先生のお写真草地畜産学研究室微⽣物植物相互作⽤学研究室研究から広がる未来畜産物への消費者ニーズや評価軸は多様化しており、SDGsや持続可能な社会形成の観点からは、環境保全型の生産システムが求められています。また、働き方改革により、畜産業でも生産者の働き方に対する考え方や価値観が変わりつつあります。草地畜産を基盤とした研究では、自然の力と便利な機器をうまく利用することで、より省力的で安定した畜産経営、生産物や生産過程における新たな価値創造、担い手確保に繋がる生産システムの構築を目指します。卒業後の未来像フィールド研究を通じて、自然環境と人の営みの健全な在り方や関係性を維持する方法を考え、実践していく力を養います。自分なりの理想の社会像を持ち、課題発見と解決手段の考案・提案能力を身につけることで、職種や分野を問わず活躍できると思います。研究から広がる未来炭疽病菌は非常に種類が多く、様々な植物に感染被害をもたらしている植物病原糸状菌(カビ)です。その感染メカニズムを完全に掌握し、植物が本来備える免疫系を十分に理解すれば、植物保護に大きく貢献できます。また、カビと植物の相互作用システムは学問としても魅力的な素材です。植物保護の観点に立ちながら学問を追求することで、新しい「糸状菌病防除技術の開発」と「自然界の真理の探究」を同時に行うことができると考えています。卒業後の未来像大学、研究所、企業等の研究従事者に必要な生命科学の基礎および専門の知識・技術が習得できます。また、論理性・問題抽出力および解決力・表現力等、社会で役立つ能力が磨かれますので、カビや植物に関連しない様々な分野でも活躍できる人材になります。⼟-草-家畜による⼟-草-家畜による資源循環型畜産の構築資源循環型畜産の構築「良牛は良草より 良草は健土より 健土は家蓄より… 黒澤酉蔵翁」日本の畜産業では、穀物多給と輸入飼料に依存した家畜飼養が一般的です。その結果、輸入飼料由来の養分が排泄物として蓄積されることによる環境負荷や飼料価格変動による経営の不安定化などの問題が生じています。当研究室では地域資源を活用・循環させる畜産システムを構築することで、これらの問題解決を試みます。目指すは省力的かつ低投入で、家畜・人・地球の三方よしの家畜生産。牧草や飼料作物の生産利用を基軸に、家畜や土壌についても幅広く学ぶことができます。ところで、冒頭の言葉には続きがあります。ぜひ調べてみてください。植物病害を引き起こす原因の70~80%は糸状菌(カビ)です。糸状菌病を防除するためには、病原糸状菌と植物の相互作用を深く理解する必要があります。本研究室では、多種多様な農作物に甚大な被害をもたらす炭疽病菌(Colletotrichum属菌)と、その宿主・非宿主植物を対象に、両者の共進化の結果である感染・防御戦略を研究しています。病原糸状菌はどうやって植物への感染を成立させるのか。そして、植物はどのように糸状菌の攻撃を防ぐのか。これらの課題を分子レベルで解明することを目指しています。11フィールド科学で循環畜産を探究するカビと植物が織りなす共進化両者の巧みな感染・防御戦略に迫る⾷料⽣産システム科学コース⾷料⽣産システム科学コース
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