農学部研究紹介2025-2026
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ウリ科花粉の保存方法.一年以上の保存が可能.LED光源下でのレタスの生育差異(左:赤色,右:青色).インドネシアバルドゥア村でのイチゴバッグ栽培と選果.また,パジャジャラン大学の先生との共同実験の様子.三三谷谷 塁塁一一 准准教教授授大阪府立大学で博士号を取得後、神戸大学で日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、2015 年10月より信州大学農学部。専門は食品機能学、栄養生化学。食品成分が持つ機能性発現メカニズムの解明に関心がある。阿阿久久津津 雅雅子子 准准教教授授博士(農学)取得後,博士研究員等や東海大学基盤工学部准教授を経て,2020年4月より信州大学農学部。専門は園芸学。大豆イソフラボンのゲニステイン (Gen)(左図)は機能性食品成分として知られており、摂取することで脂肪組織の炎症反応を抑制する。Genの細胞内結合タンパク質を右図の様に培養細胞を用いて分子生物学的に探索する。矢印部分のバンドが結合タンパク質を示す。食品成分の生体での効果をマウスを用いて生化学的手法で解析する。対照群 の脂肪組織(左図)と比較して、カカオ豆由来成分を摂取した群の脂肪組織 (右図)では、脂肪細胞が小型化していることが分かる。Genistein (Gen)Input Pull down細胞抽出物Gen結合ビーズ+++50 µm50 µm⾷品機能学研究室蔬菜園芸学研究室研究から広がる未来高齢社会である我が国では、医療費の増大が深刻な問題であり、疾病の予防・改善による健康寿命の亢進が課題となっています。肥満は、様々な生活習慣病(動脈硬化症、糖尿病など)のリスクファクターとして知られており、運動不足や食生活の偏りによって引き起こされることから、食品成分を利用した改善策が注目されています。私たちは培養細胞や動物を用いて、脂質の蓄積を抑制、脂肪組織の炎症を抑制する食品成分を探索します。そして、その作用機構を分子レベルで解明することで、将来的には肥満関連疾患を予防・治療する創薬の開発へと展開することを目指しています。卒業後の未来像培養細胞や小動物を使った実験を通して、食品の機能性解析や遺伝子導入技術などが身に付きます。また、大学院に進学した場合、論理的思考力や想像力といったスキルの向上もサポートします。将来は各分野で研究・開発職などで活躍できる人材を育てています。研究から広がる未来植物の新品種を育成する際に,植物体や種子などではなく,花粉のみを輸送する事で栽培不適地や栽培時期がずれている地域でも気軽に授粉が可能となります。現地で一から花粉親である植物を育てる必要がなくなります。そのため,日本国内だけでなく,海外でもこれまでにない新しい植物を育成出来るようになるようになるかもしれません。卒業後の未来像植物の生育を観察し,実験によって得られたデータや知見をまとめ、発表することで客観的な見方が出来るようになると思います。また研究を通じて,自分の信念や考えを持てるようにサポート出来たらと考えております。B肥満や生活習慣病は本人だけでなく、子や孫にまで引き継がれることが明らかとなっていることから、次世代の健康を考える上で、青年、中高年で増加する肥満や脂質代謝異常を改善することは 非常に重要な研究分野です。肥満や生活習慣病をはじめとする疾患では、内部環境因子(ホルモンなど)だけでなく外部環境因子(食品成分など)による影響が大きいことから、食品成分による疾病の予防、改善が広く研究されています。しかし、その分子機構には不明な点が多く残っています。食品機能学研究室では、上記の疾病に対する食品成分の機能と、その機能を発揮する際のトリガー(標的タンパク質)を同定することを研究しています。蔬菜,花卉,果樹からなる園芸作物の発芽から老化までの一生を網羅的に研究し,農業への還元を目指しています。なかでも,有機溶剤などを使用せずに,スイカやニガウリ等のウリ科花粉で証明された花粉の長期保存方法を他の植物種での応用を目指したり,様々な環境条件下での園芸作物の生育差異やその機構等に関して,研究を行っています。また,インドネシア西ジャワ州ガルト県バルドゥア村でかつて形成されていたイチゴ産地の再構築を目指して,現地のパジャジャラン大学で土壌条件を始めとする栽培条件に関して共同研究を行っています。次世代の健康維持に向けた⾷品成分の探索と作⽤機構の解明を⽬指す⽣ 命 ・⾷ 品 科 学 コース⾷料⽣産植物資源科学コースシステム科学コース園芸作物の⼀⽣を研究することで,農業へ還元10

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