繊維科学研究所
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26高強度、柔軟性高導電率AgNPs/CNT 複合体CNTAgNPs1994年に京都大学にて理学博士号を取得後、日立化成(株)筑波開発研究所、産業技術総合研究所研究員、信州大学研究員(繊維学部、カーボン科学研究所、IFES)を経て2025年より現職。主な研究分野:機能性ナノ材料、ナノ複合材料の創製、物性解析・評価、多機能スマートセンサーの開発 常温かつ短時間で、簡単に分離できるプロセスにより、 粒径分布の狭い金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子、およびそれらのナノ粒子とカーボンナノチューブ(CNTs)複合体の新しい作製法を見出した。作製したAgNPs/CNTs複合材を用いて、高強度かつ高導電性透明薄膜や電磁波吸収材を作製した。ナノ材料は、その独特な特性(表面積が大きい、量子効果など)を有するため、さまざまな分野で応用されている。金属ナノ粒子、金属酸化物ナノ粒子の新しい作製法に関する研究、およびそれらをナノカーボン材料に複合させることにより、高機能を持つ新規ナノ複合材料の開発を行っている。また、これらのナノ材料を利用し、高感度かつ高信頼性を備えた柔軟な多機能センサーを開発している。 AgNPs/CNTs複合材を 不織布にコーティングしてから、PET基材に実装し、柔軟なセンサーを作製した。センサーの圧力・温度・湿度に対する感度や応答時間、環境耐性を評価し、 最適な動作条件を明らかにした。AgNPsとCNTsの複合化により、従来材料の限界を克服でき、導電性、機能性と安定性を向上させ、温度・圧力・湿度の高感度検出を実現した。この柔軟なセンサーは、ウェアラブルデバイスや健康モニタリングへの応用が期待される。柔軟なセンサーによる人体のパラメータの検出繊維生産・製造技術部門繊維生産・製造技術部門長E-mail: jnatsu@shinshu-u.ac.jp 夏木 潤 特任教授Jun NATSUKI 研究の未来像:ナノ材料による高感度かつ高信頼性を備えた柔軟な多機能センサーの開発を進め、医療、ヘルスケア、IoTなど幅広い分野への応用展開と次世代ウェアラブルデバイス、スマートウェアの実用化を目指す。研究テーマ:機能性ナノ材料の開発及びセンサーへの応用キーワード: ナノ粒子、カーボンナノ材料、ナノ複合材料

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