医学科研究紹介2024_2025
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•オンライン学習環境を組み合わせたグループ学習カリキュラムを構築し、学•医療従事者が地域啓発活動に参加することで得られた成長を明らかにする患者情報の多面的評価に基づく薬物治療の適正化(Naito T. Biol Pharm Bull 2019;42:149-57)頭頸部がん患者におけるセツキシマブ(抗EGFR抗体)のTDM(Shibata K, et al. Cancer Chemother Pharmacol. 2021;87:555-65)多職種連携教育プログラムの参与的開発研究(写真:医学科・保健学科生によるロールプレイ)県内医療機関との強固なネットワークを生かして、さまざまな分野での医療者教育研究も行う(写真左:高校生の体験会、右:臨床研修現場)私たちは、お薬の有効性と安全性を最大限に高め、個々の患者さんに最良の薬物治療を実践するための臨床薬理学研究に取り組んでいます。様々な臨床試験を行い、国から承認されたお薬でも、多くの患者さんに使ってみた場合に、一部の患者さんで、お薬が効かない・効きすぎる、副作用が現れるといった問題を生じることがあります。医療現場の中でお薬を有効かつ安全に使用していくためには、研究活動によって、お薬による効果や副作用が現れる原因を明らかにしながら、お薬に情報を加え、お薬を育てていく必要があります。私たちは、そのような医療現場におけるお薬の患者間での効果や副作用の違いに関する課題に取り組むことによって、合理的な薬物治療法の構築を目指しています。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像 21世紀に入り、医学教育は、•「経験・勘・根性」から、心理学や行動科学などの理論に基づいた「計画的デザイン」へ、•教育者が知識を注入するだけの「受動的活動」から、自ら学び成長し続けられる医療者を育成する「主体的活動」へ、といった変革を迎えています。 私達は、良質な医療人を育成するために、最先端の医学教育学を医療専門職育成の場に導入する実践活動や研究に取り組んでいます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像・生体試料中薬物濃度の高感度迅速定量法の開発・ヒトにおける医薬品の効果・副作用の個人差の解明・がん・疼痛・感染症等の疾患や周産期における合理的薬物治療の構築・非実験的手法を用いた医薬品の副作用や薬物間相互作用の検出患者さんにおける医薬品の効果・副作用の個人差要因が明らかになります。これらの情報から、合理的な医薬品の投与計画法の提案が可能になり、安心・安全な薬物療法の実現につながります。当教室で学んだ多くの大学院生は、学位取得後に薬剤師または薬学研究者・教育者として活躍しています。また、製薬企業における創薬研究や医薬品開発に携わる職を目指すこともできます。・医療従事者の地域啓発活動への関与•カリキュラム改革が学生に与える影響•新たな協調学習、アクティブラーニング手法の開発•診療参加型臨床実習における知識・技能・態度の総合的評価手法生がより意欲的に授業に参加できるようになりました。ことで、活動の充実と活性化に寄与しました。•県内企業と試験問題管理システムを共同開発しました。•医学教育学全般の知識を得ることで、自身および自施設の教育活動を分析し、改善することができるようになります。•量的・質的研究手法を修得して、教育・臨床研究に活用することができます。臨床薬理学教授内藤 隆文医学教育学信州大学医学部医学科発行年月:2024年7月発行:信州大学医学部35合理的な薬物治療を提供するための医薬品情報を創出する医療の根幹は『⼈』。⼈を育てれば、医療はもっとよくなる。

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