教授平塚佐千枝(教授平塚佐千枝)私たちは、がんの治癒を目指し、哺乳類(マウス-ヒト)のがんの発生、増殖、転移に焦点を当てて研究をしています。現在までに、がんが転移する前、離れた他の臓器の局所に“転移予定地”を形成すること、それを抑える抗転移細胞が存在することを、マウスを用いた研究で明らかにしてきました。その中で細胞外核酸が抗転移細胞を活性化するという新たな概念を見出しました。しかしながらその詳細な仕組みや、それが“人”においても存在するのかは明らかになっていません。これらのことを追求するため、さらに研究を進めています。がん転移の予測や予防的な治療法の確立につながることが期待され、大変やりがいのある研究です。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像遺伝子医療研究センターセンター長/教授・古庄知己(遺伝子医療研究センターセンター長/教授・古庄知己)遺伝医学教室は、附属病院遺伝子医療研究センターとタイアップして、ヒトの遺伝性・先天性疾患を対象とした研究に取り組んでいます。患者さんの症状を丁寧に分析し、次世代シークエンサーなど最新の遺伝子解析技術を用いて原因遺伝子変異を解明します。病気の原因が解明されることにより、これまで難治性といわれてきた遺伝性・先天性疾患の治療法開発につながります。私たちは、患者さんへのよりよい診療・遺伝カウンセリングのあり方に関する研究にも取り組んでいます。こうした包括的な研究を通じて、患者さんが健康的に、安心して暮らせる社会作りに貢献していきます。主な研究テーマ研究から広がる未来卒業後の未来像転移前の肺における透過性亢進部位の形成後に癌はこの部位に転移するヒトの肺でもこのメカニズムが存在する可能性がある担癌マウスの肺における血管透過性亢進部位が‶転移前の土壌"である。顔貌上の特徴、先天性多発関節拘縮、巨大皮下血腫などを呈する1人の患者さんとの出会い原因遺伝子CHST14を単離デルマタン4-O-硫酸基転移酵素欠損コラーゲン細線維のゆるみが原因!デルマタン硫酸欠損エーラス・ダンロス症候群筋拘縮型(古庄型)の発見!ヒトで初めて見出されたデルマタン硫酸生合成異常症!県内医療機関から原因不明の4p-症候群の発症機序を解明ID児が多数紹介独自に作成した“IDパネル”による候補遺伝子解析陰性例に対する網羅的遺伝子解析“エクソーム解析”日本で最初の知的障害児専門の遺伝外来“ID外来”!細胞遺伝学研究、古典的手法から最先端技術まで!・正常細胞ががん化する仕組みの解析・がんが転移する仕組みの解析・がん転移を抑制する抗転移細胞の解析がんの転移の予防や治療を考えたとき、現在では体に負担のかかる抗がん剤治療が一般的です。私たちがマウスで発見した抗転移細胞は自身が元々持っている細胞であり、転移するがん細胞をたたくなどして転移を防ぎます。これが、ヒトでも確認され、さらに活性のある状態で安定供給できるようになると、がんの治療に大きな革命をもたらします。がんの研究を通し、医療をはじめとした様々な知見を深め、治療、教育、行政や研究といった多種多様な分野での活躍が望めます。・遺伝性結合組織疾患の包括的研究、特にエーラスダンロス症候群筋拘縮型(古庄型)(MusculocontracturalEDS-CHST14)の病態解明、治療法開発研究・知的障害・自閉スペクトラム症・てんかん・先天異常症候群・成人神経疾患などの遺伝子解析研究・マイクロアレイ染色体検査、FISH法を駆使した細胞遺伝学的研究臨床遺伝学の醍醐味は、たった1人の患者さんの丁寧な分析から、新たな疾患を発見できることです。遺伝子解析により、原因遺伝子が解明できれば、病気の成り立ちがわかり、根治療法を開発できるとともに、今まで全くわかっていなかった生物の普遍的メカニズムを説き明かすブレイクスルーになることもあるのです。医学部を卒業後、小児科など基本領域の専門医を取得していただき、その後、信州大学医学部附属病院を中心に研修を受け、臨床遺伝専門医を取得していただきます。大学院に入学し、国内外の研究室での基礎研究を勧めています。(バイオメディカル研究所)(バイオメディカル研究所)分子医化学分子医化学遺伝医学遺伝医学6先天性疾患の原因遺伝⼦を探せ︕すべては患者さん・ご家族の幸せのために︕転移するがんを狙い撃つ
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