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研究の未来と卒業後の将来像研究の未来と卒業後の将来像主な研究事例主な研究事例 貧困の克服や平和の構築、環境問題などグローバルな社会の課題が研究対象です。社会の課題の解決には、問題を共有しルールを決めて、解決に向けた努力を促す社会の仕組みが必要です。豊かで平和な社会を築くためには、様々な国々や人々の協力が欠かせません。しかし、そもそも多様な価値や利害が交錯するグローバルな社会では、問題を共有することさえも難しいのが現実です。グローバルな社会の問題の背景には何があるのか、解決のためには誰がどのようなことをなすべきか、問題解決のための知見や教訓を積み重ねるために研究をしています。美甘 信吾 教授北海道大学法学部卒業、ロンドン大学(LSE, SOAS)修士、ロンドン大学博士(Ph.D.)。 民間企業(コンサルティングファーム)、フィリピン大学(CIDS)客員研究員、信州大学准教授などを経て現職。 市民の生活関係を司る法律「民法」の中に「親族」「相続」という編があり、これらは一般に「家族法」と呼ばれています。人は生まれて暫くは親に扶養され、成長してパートナーと共同生活し、子を扶養し、その間に家族が亡くなると遺産を受け継ぎ、最後は自分が遺産を残して家族と別れを告げます。かようなあらゆる場面について、成立・効果を定めた法規範が家族法です。家族法は、(「法律は家庭に入らず」の言葉通り)家族が円満に生活する限りは前面に現れることはありませんが、互いの話し合いだけでは解決できない問題が発生したときにそれを解決するツールの一つとして機能します。その適正な解釈運用について深く学んでいきます。宗村 和広 教授青山学院大学法学部卒業、専修大学大学院修士課程法学研究科私法学専攻修了(法学修士)、同大学院博士後期課程民事法学専攻退学、信州大学教養部講師、同大学経済学部講師・助教授、同大学大学院法曹法務研究科教授を経て、現職 国際政治の中でも、グローバル・イシューズと東南アジア地域を中心とする新興国の政治が専門領域です。世界の中でもアジアの存在感が増し、日本とアジアや東南アジア諸国は経済的にも密接な関係があります。価値や利害を調整し、社会課題解決の試みを研究する政治研究も様々な国の事例が蓄積されており、特にアジア諸国の事例にも関心が高まっています。 政治課題を分析するためには、より正確な情報の収集能力、多角的・複眼的な分析力、論理的な思考力、自分とは異なる主張を理解する多文化主義的能力、情報を共有し発信するためのコミュニケーション能力が重要です。このような能力は、公務員としてまたは民間企業で働くための基礎力でもあります。地域社会の課題解決に尽力できる人材やグローバルな社会で活躍できる人材にも共通の資質です。SDGsが普及しているように、グローバルな社会では課題の共有のための努力が続いています。グローバルな社会で仕事をしていくことを意識して学ぶことが重要です。社会の課題について探求し、それを将来のキャリア形成に役立てて欲しいと思います。 家族法は、誰もが必ず所属する家族という集団にかかわる法規範であるので、その現状を学び、課題に向き合っていくことは、必ず皆さんの将来の役に立ちます。 元々法律というルールは所謂「法則」と異なり、社会の価値観に根ざして作られており、価値観が変われば自ずとルールも変わりますが、特に昨今、家族をめぐる価値観が大きく移り変わってきています。同性婚を認める、生殖補助医療技術を用いて子をもうけることを認める、生物学的に何の繋がりもない者同士に親子関係を認める、などの動きがこれにあたり、これらとどう向き合っていくかを考えることは、家族の一員として生活する皆さんにとって、有意義なものとなるはずです。 家族法の知見と直結する職業は、法曹、家庭裁判所調査官など、それほど多様ではありませんが、家族間の紛争を具体的妥当な解決へ導くための思考を磨くことは、皆さんが卒業後どのような進路を取る場合でも、必ず自分の人生を切り拓く力になるはずです。 社会の課題を克服し持続可能な経済社会を築くためには、社会の統治の仕組み(ガバナンス)が重要です。社会の問題や統治の仕組みは、それぞれの国々や地域の歴史や社会の成り立ちとも密接に関わっています。東南アジア諸国(特にフィリピン、タイ、インドネシア)の経済改革の政策決定過程の事例を分析し、よき統治の条件を考察しています。23海外研修:海外留学をサポートしています。東北研修:震災復興もグローバルな社会の重要課題です。法律学基礎演習の授業風景。特別受益・寄与分を含む相続分の事例問題を検討しています諏訪の末子相続と北信濃の均分相続■河合空と小林一茶の場合■(信州大学法学論集27号115-178頁、2016年、共著)Lawrence v Gallagher[2012]EWCA Civ 394■シビルパートナーシップ解消に伴う財産の分配■(信州大学法学論集25号71-81頁、2015年)内縁関係の解消と居住用不動産の利用(2)死亡解消における非名義当事者の保護を中心に(信州大学法学論集21号127-146頁、2013年)総合法律学科総合法律学科国際政治:グローバルな社会の課題を探究し、解決策を模索する家族にかかわる法制度を学ぶ

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