人文学部研究紹介2024-2025
20/24

主要学術研究業績主要学術研究業績速水 香織 教授▼現在は文字だけではなく「句読法」を含めた「書記システム」全体から日本語の書記方法変遷の実態と要因解明に向かおうとしています。▼ 世界で3種の文字(漢字・平仮名・カタカナ)を使用する書記形態をとっているのは,日本語くらいです。その歴史的必然や現代的意味の解明▼日本語の古辞書や,現代語のフシギの解明もやってます。(業績リスト参照)山田 健三 教授●現在の研究テーマ▼日本語の様々なシステム(音韻,文法,書記)とその歴史的変化の実態と要因を探るのが「好物」です。▼目下の関心課題は「日本語書記技術システム史研究」。平仮名の成立などについては,従来の常識的な見方に疑義を唱え,再検討を行っています。▼ 仮名の成立問題は日本列島だけではなく,大陸や半島を含めた東アジアで考える必要のあること,などの研究を公表しています。我々がこれまでに「常研究から広がる未来と将来の進路 古典や歴史は,現代を生きる私たちとは切り離された遠い過去の遺物ではありません。自分たちは,遥かな過去から連なる歴史・文学史の最先端を生きているとの自覚を持って広い視野を保ち,未来への責任を自覚しながら,地に足の着いた思考能力を獲得してほしいと思っています。将来どのような道を選ぶとしても,そのような思考と人文知とは,きっと人生の大きな充実に繋がってゆくでしょう。研究から広がる未来と将来の進路 研究室で学んだ学生さんは,人文学部が最も重視する「実践知」が活かせる場,公務員,中学・高校教員,民間企業など多方面で活躍しています。 大学院(修士課程)に進学した上で更に分析能力に磨きをかけ,公務員,高校教員,民間企業で活躍する修了生や,更に他大学大学院(博士課程)に進学し,大学教員になる学生など多種多様です。識」として受け入れてきたことの研究成果基盤には,必ずしも堅固ではない場合が少なくありません。にも腐心しています。2007年皇學館大学大学院博士後期課程国文学専攻修了。中京大学国際教養学部非常勤講師,同朋大学文学部非常勤講師,皇學館大学教育開発センター助手,同文学部助手を経て,2013年信州大学人文学部准教授,2023年より現職。博士(文学)。愛知県名古屋市出身。名古屋大学大学院文学研究科博士課程後期。愛知女子短期大学人文学科(平成元年4月〜3年3月),愛知学院大学教養部(平成3年4月〜平成10年3月)を経て,平成10年(1998)4月より信州大学人文学部。平成21年4月より教授。平成29年4月より平成31年3月まで人文学部長。《著書》『近世前期江戸出版文化史』(単著,文学通信,456p,2020年2月)『仮名草子集成』第67巻(柳沢昌紀,花田富二夫,冨田成美,速水香織編,東京堂出版,pp.121-195,2022年4月)《論文》「江戸書肆山口屋権兵衛の出版活動と上方浮世草子」(単著,『日本文学研究ジャーナル』21号,pp.96-110,2022年3月)「高照神社ゆかりの古典籍―「高岡御蔵書」印をめぐって―」(単著,『東奥義塾高等学校所蔵旧弘前藩古典籍調査集録』5号,pp.29-38,2019年2月)「真田宝物館蔵木板本「二十一代集」の伝来」(速水香織,白井純著,『松代』32号,pp.1-16,2019年1月)【著書】 山田健三解題(2017)単著『和名類聚抄 高山寺本』(新天理図書館善本叢書)八木書店 【論文】 山田健三(2018)仮名をめぐるターミノロジー(『信州大学人文科学論集』5(通巻52)号) 山田健三(1994)共著『日本古辞書を学ぶ人のために』世界思想社,他山田健三(2017)和名抄にみる古点以前の万葉集(『万葉集研究37集』塙書房)山田健三(2016)草体漢字と字体標準(『漢字字体史研究〔二〕・字体と漢字情報』勉誠出版)山田健三(2015)「成立期の仮名」をめぐる日本語書記システム史上の諸問題(『日本史研究』639号)山田健三・奥瀬真紀(2014) 敬語接頭辞「オ-/ゴ-(御)」の使い分け原理試論:ポライトネス理論の山田健三(2004)係り結び・再考(『国語国文』73-11)山田健三(1998)しほといふ文字は何れのへんにか侍らん:辞書生活史から(『国語国文』68-12),他2. 江戸時代の木版本を中心に古典籍の調査を行っています。最近は,長野県内に点在する古典籍の書誌調査や写真資料の調査を通じ,江戸時代から現代へと繋がる情報の伝達・保存の問題を考えています。●現在の研究テーマ1. 江戸時代は,出版文化の発達に伴い大きな社会変容が起こった時代です。それは,人間の生き方・心のありようを映す文芸の内容にも顕れているとの観点から,特に17世紀に成立した浮世草子などの諸文芸や実用書ついて調査分析を行い,当時の人々の考えやものの感じ方の変容,さらには江戸から明治に至る,時代の大きな流れを明らかにしたいと考えています。19視点から(『信州大学人文科学論集』1(通巻)48号)●研究分野●研究分野日本言語文化コース日本言語文化コース日本近世文学・出版文化研究 日本語史学,日本語学

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る