人文学部研究紹介2024-2025
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2.インターネット言語学     インターネットでは,目まぐるしいスピードで言語変化が起こっています。常に新しい表現が生まれ,それがもじられて新しい「パターン」とも呼べるようなものが定着したり,あるいは廃れていったりします。こうした言語現象を分析することで,構文知識の創発・変化をより深く理解できると考えています。主要学術研究業績主要学術研究業績2.F・スコット・フィッツジェラルドの長編小説における近代化および世俗化の研究    科研費基盤研究(C)採択の研究課題です。アメリカの作家のなかでもとりわけモダンとポストモダンとの境界にあると思われる,20世紀初頭のアメリカの作家F・スコット・フィッツジェラルドの小説における近代化と世俗化(宗教の影響力の弱まり)を研究しています。まず,学術研究書『ギャツビーとモダン・アメリカ ― F・スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』を読む』の刊行を近々に目論んでいます。3.直近では、『アメリカ映画史入門』,『スポーツする英語文学』,『ギャツビー100年』に取り組んでいます。・ 日本映画学会顧問,日本F・スコット・フィッツジェラルド協会会長,日本英文学会理事,サウンディングス英語英米文学杉野 健太郎 教授Ash Leigh, Spreadbury 助教●現在の研究テーマ1.アメリカン・ドリームの文化学    アメリカの建国理念であると同時に近代啓蒙の理念である「アメリカン・ドリーム」が文学作品や映画作品でどのように表象されているかを研究しています。成果の一部が,杉野編『映画とネイション』(ミネルヴァ書房,2010)に収録されています。かなり前に出版予告されたままの学術研究書『ドリーミング・アメリカ ― アメリカン・ドリームの文化学』を完成することが目標です。●現在の研究テーマ1.文法と文脈    文法パターンと使用文脈は密接な関係にあります。構文は文脈による制約を受ける一方で,新たな文脈を作り出したり別の文脈を喚起した研究から広がる未来と将来の進路 この文章を読む前と読んだ後とであなたの言語知識が微妙に変わっているように,言語知識は常に変化する動的なものです。英語の構文知識を研究することで,英語という個別言語の特徴をより深く理解できるだけでなく,言語一般の創発・変化についても知ることができます。会評議員・学会誌編集長を現在務めています。研究から広がる未来と将来の進路 アメリカを中心とする英語圏の文学や文化とくに映画を学びます。本物の英語はそう簡単ではなく,また英米をはじめとする英語圏は高等教育先進国であるだけでなく人口も多く,本国の研究を超えるのは至難ですが,がんばりましょう。// 大学院へ進学する学生もいますが,ジェネラリストとして就職する学生がほとんどです。就職業界は,マスコミ,製造業,公務員,金融,客室乗務員など多岐にわたります。りする力も持ちます。このように文法と文脈が互いに影響し合う関係を明らかにする研究をしています。 1961年岐阜県生まれ。上智大学文学部哲学科ならびに英文学科卒業。1989年上智大学文学修士(英米文学),1989年駒澤大学苫小牧短期大学専任講師,1992年広島大学総合科学部専任講師,1995年助教授,1997年信州大学人文学部助教授,2011年より現職。ウィスコンシン大学マディソン校,カリフォルニア大学バークリー校客員研究員を歴任。2022年3月 慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(文学)。2020年4月〜2022年3月杏林大学外国語学部非常勤講師。2022年4月 信州大学人文学部着任。・杉野健太郎編『映画史の論点』,ミネルヴァ書房 2023年。 ・ Sugino, Kentaro. “Pious Fitzgerald: ■■■■■■■■■■■■■■■■ and Modern Belief.” ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■, no.3. 2020. ・杉野健太郎編『アメリカ文学と映画』,三修社,2019年。    アメリカ文学の主要作品の映画へのアダプテーションを論じた論集です。杉野は,フィッツジェラルドの小説『グレート・ギャツビー』のバズ・ラーマンによる映画を論じています。 ・杉野健太郎編『映画とイデオロギー』,ミネルヴァ書房,2015年。   映画『イージー・ライダー』におけるイデオロギー対立の誕生を論じています。 次のような学術概説書なども公刊しています。初学者のみなさまにおすすめします。 杉野健太郎編『アメリカ文化入門』新版,三修社 2023年。/諏訪部浩一編『アメリカ文学入門』新版,三修社 2023年[共著]。/Sugino, Kentaro. “F. Scott Fitzgerald in Japan.” ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■. Vol. 25 (2016-17), The F. Scott Fitzgerald Society, April 2017, pp. 18-21./『アメリカ文化事典』(2018年,丸善出版)[項目執筆]1. 「X they said Y they said as a sarcastic multi-sentential construction」山梨正明(編)『認知言語学論考No.16』pp.137-166,ひつじ書房 (2022)   ゲームのセリフとして使われ始めた表現が,インターネット・ユーザによって繰り返しもじられて使用される中で,抽象的なパターンとして再定着し,生産的に使われるようになった構文化の過程を分析しています。2. 「Fictive interaction in humorous YouTube comments: A preliminary investigation」『藝文研究』122号, pp.27-40(2022)   YouTubeのコメント欄に見られる仮想会話形式のパターンを分析した論文です。このパターンが間テクスト的ユーモアを生み出すために用いられるもので,ユーザの慣習的な言語知識に含まれるものであることを論じました。18●研究分野●研究分野英米言語文化コース英米言語文化コースアメリカ文学・文化,映画学英語学,言語学 

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