人文学部研究紹介2024-2025
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主要学術研究業績主要学術研究業績2. 生成論 鎌田 隆行 教授2.フランス文学 a) 両大戦間期のフランス文学(サン=テグジュペリ,ラディゲ,ボーヴ etc.の読み直しと翻訳) b) 現代フランス小説(自伝の現代的形態としての「家系の物語」を中心に)澁谷 豊 教授●現在の研究テーマ1. 小説表象論 ●現在の研究テーマ1.比較文学 a) 日本におけるフランス文学(フランスの象徴詩は日本でどんなふうに受けいれられたのか?等) b) フランスにおける日本文学(日本の俳句はフランスでどんなふうに受けいれられたのか?等) c) 近代日本人のフランス体験(両大戦間期のパリにおける日本人の出版活動を中心に)研究から広がる未来と将来の進路 19世紀フランスの小説は,単行本・新聞・雑誌とさまざまな印刷媒体に掲載されて流布していきました。作品がどのように執筆され,受容されるかはこうしたメディアのあり方と不可分の問題です。生成論による文学研究は,人間の想像力とメディアの来るべき新たな関係を見据えていくためにも重要な役割を担いうるアプローチです。研究から広がる未来と将来の進路 文学の研究というのは,他者との(そして,多くの場合は「死者」との)対話に似ています。ときには,威勢よく雄弁をふるっている連中の陰にひっそりとたたずむ人の,消え入りそうな声に耳を傾けることもあるでしょう。そんな経験を積むことでどれだけ将来が広がるのか,それはよく分かりませんが,もしかすると,この(たぶんあまり面白くもない)人生が,少しは味わい深いものに思えるかもしれません。 バルザックを中心とした19世紀フランスの小説の展開の問題に取り組んでいます。社会や人々の心性が劇的に変化した時代にあって,小説が主として同時代や近い過去の現実表象(社会に可視性を与えること)を志向しながらも,「書くこと」のありとあらゆる可能性を探求するジャンルでもあったことを多角的に考察しようと試みています。 生成論(草稿研究)は作家の制作資料をもとに作品の成立過程を検証し,書き手の想像力の展開や作品の意味作用の変容を考察するアプローチです。近年はバルザック『パリにおける田舎の偉人』や『セザール・ビロトー』を主な分析対象として自筆草稿や校正刷り等の検証を進め,作品の新たな読解を目指しています。また,生成論研究との関係で,作品の本文に付随するパラテクスト(題名,序文,献辞,挿絵など)や発表媒体(新聞,雑誌,単行本,作品集など)の問題も研究対象としています。平成2年3月  早稲田大学第一文学部卒業 平成15年6月   パリ第四大学博士課程修了(文学博士) 平成16年4月   早稲田大学比較文学研究室助手(平成18年3月まで) 平成18年10月   信州大学人文学部助教授(平成19年4月に准教授に職名変更。平成30年3月まで) 平成30年4月   信州大学人文学部教授(現在に至る) 名古屋大学大学院文学研究科博士課程を経て,パリ第8大学および高等師範学校に留学。フランス政府給費留学生(1999-2000年度)。文学博士(パリ第8大学)。名古屋大学COE研究員,同文学研究科留学生専門教育講師,信州大学人文学部准教授を経て現在に至る。〜著書〜・■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■. 1907-1956, Atelier National de Reproduction des Thèses・ 松崎碩子,和田桂子,和田博文編『両大戦間の日仏文化交流』ゆまに書房 平成27年(共著。『ルヴュ・フランコ・ニッポンヌ』とルネ・モーブラン」p. 91-109 担当)〜論文〜・「金子光晴のパリ暮らし―読書―」 Quatre Vents 第8号 平成22年 p. 74-92 ・ 「『日佛評論』について―アミラル・ムーシェ街二十二番地―」 松尾邦之助『巴里物語[2010年復刻版]』社会評論社 平成22年 p. 341-362に「資料論文」として掲載(初出は『比較文学年誌』第41号)〜翻訳〜・レーモン・ラディゲ『ドルジェル伯の舞踏会』光文社古典新訳文庫 平成31年・サン=テグジュペリ『人間の大地』光文社古典新訳文庫 平成27年・エマニュエル・ボーヴ『ぼくのともだち』白水Uブックス 平成25年単著: ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■, Presses Universitaires de Vincennes, 2021(パリ第8大学出版会から刊行した著作)    ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■Un grand homme de province à Paris, 駿河台出版社, 2006(パリ第8 大学に提出した博士論文をもとにした著作)共著:小倉孝誠編『批評理論を学ぶ人のために』, 世界思想社, 2023(第9章「生成論」を執筆)    A. Del Lungo et T. Kamada (dir.), ■■■■■■■■■■■c, n°4, « l'édition », Classiques Garnier, 2021, 301p(ソルボンヌ大学のアンドレア・デル・ルンゴ教授との共編著)    É. Bordas, P. Glaudes et N. Mozet (dir.), ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■, Classiques Garnier, 2021, 1558p(フランスで刊行された『バルザック事典』に分担執筆者として参加, 計72項目を担当)15●研究分野●研究分野比較言語文化コース比較言語文化コースフランス文学,生成論日仏比較文学,フランス文学

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