人文学部研究紹介2024-2025
13/24

主要学術研究業績主要学術研究業績佐藤 真紀 准教授1988年明治大学文学部史学地理学科西洋史専攻卒業。1991年成城大学大学院文学研究科ヨーロッパ文化専攻博士課程前期卒業。1997年成城大学大学院文学研究科ヨーロッパ文化専攻博士課程後期単位取得退学。1995年-1997年女子美術短期大学非常勤講師。1997年信州大学人文学部講師。2000年信州大学人文学部准教授。2.清朝経済史    現在,中国の大国としての影響力はよく知られています。では,その影響力は昔から一貫したものなのでしょうか。じつはついこの間まで,中国経済は,ちょっと貿易赤字が増えるとあっという間に不況に突入する脆弱なものであると自他共に認識されていました。では,その脆弱性はどこからくるのか。いまでもあるのか。いつからあるのか。米価変動や国際貿易収支などの分析を通じて,長期的な経済構造変動の検討を進めています。豊岡 康史 准教授●現在の研究テーマ1.地方からみたフランス革命。近年は,フランドル地方の事例を多く扱っている。●現在の研究テーマ1.清朝政治史    中国という巨大な国家は,どのようにしてその政策を策定し,実施しているのでしょうか。現代では共産党独裁といい,前近代には皇帝独裁であるといわれてきました。しかし「独裁」とは何でしょうか。「独裁」する立場にある人は,なんでも好き勝手に出来るのでしょうか。国家の政策というのは,なにに規定されて決まり,動いてゆくのでしょうか。17世紀から20世紀までを視野に入れつつ,清朝という王朝における政策決定過程(特に対外政策)について検討を行っています。研究から広がる未来と将来の進路 ヨーロッパ近代を正しく理解することは,国際交流や通商に関わる仕事で不可欠であることは無論ですが,それのみならず,どのような進路を歩む場合でも大切です。研究から広がる未来と将来の進路 歴史学は,結果がすでに出ている人間の行動や社会の動きを分析する学問です。東洋史学はアジア諸地域についての理解を深めるものですが,同時に,歴史学という学問手法を通じて,人間社会一般が持つ傾向なども幾分理解できるでしょうし,限りある材料を駆使して,自分の主張に説得力を与えてゆく技術も身につくでしょう。歴史学にかかわる知見は,成熟した社会の構成員に必要な要素のひとつとなっています。2002年,千葉大学文学部卒業。2010年,東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員PD,武蔵大学,駒澤大学,筑波大学,法政大学などの非常勤講師を経て,2014年から現職。『海賊からみた清朝:十八〜十九世紀の南シナ海』(藤原書店 ,2016年)   18-19世紀に,中国沿海で活動していた海賊について,彼らの素性という社会経済的な側面のみならず,彼らを討伐しようとする清朝政府,あるいはイギリス,マカオのポルトガル人などがつむぎだす国際関係について分析を加えています(あんまりロマンのない話です)。『銀の流通と中国・東南アジア』(共編著,山川出版社,2019年)   アヘン戦争前夜,中国は不況に苦しんでいました。その,メカニズムは長らくアヘン密輸に伴って銀流出がおこり,その結果,貨幣としての銀が不足して高騰し,銀デフレに陥ったとされてきましたが,近年では,そこに疑義が示されています。では,19世紀前半の中国経済に何が起こったのでしょうか。国際学術会議で交わされた議論を軸に,1世紀を超える清朝経済史研究の成果を総括しています。『嘉慶維新研究:嘉慶四(1799)年上諭訳注』(共編訳,汲古書院,2023年)   みずから「維新」と称して改革に勤しむ清朝皇帝嘉慶帝の名義で発布された命令書(「上諭」)のうち重要なものを選んで翻訳したものです。「臣下が如意(孫の手のような工芸品)を献上してきたが,そんなことで朕の機嫌を取るようでは,朕は不如意である」などとダジャレもありますが,皇帝の「独裁」が実際にどのように運用されているのかが,よく分かる内容になっています。1. Maki SATO “LʼAmour de la patrie a toujour dirigé mes actions et les dirigera jusquʼà mon dernier soupir, justifi cation et autobiographie chez Ernest Duquesnoy”, Biard, M., Boudin, Ph., Leuwers, E., Omi, Y.,(dir.), LʼÉcriture dʼune expérience, histoire et mémoires de Conventionnels, Paris, 2016. 2. 佐藤真紀「フランス革命期における秩序正しい暴力−ノール県ウプリヌ村食糧騒擾の事例から−」『歴史評論』718号,2010年。3.「フランス革命期におけるメルヴィルMerville市への軍隊派遣について」『人文科学論集』第41号,2007年。12●研究分野●研究分野歴史学コース歴史学コースフランス近代清朝政治史・経済史

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る