繊維学部研究紹介2023 日本語版
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21小関道彦教授富士通株式会社、東京工業大学大学院理工学研究科機械制御システム専攻助手等を経て、2019年より現職。骨体の力学シミュレーションだけでなく、医用画像計測機器の性能を向上させる研究も行う。バイオエンジニアリングコースバイオエンジニアリングコース機械・ロボット学科機械・ロボット学科教員紹介いろいろな系のサイズを小さくすると、従来できなかったことが出来るようになったりします。新たな凍結保存技術開発の例で言うと、液滴サイズを非常に小さくして毎秒1万度という従来考えられなかった冷却速度を実現しました。これにより凍結保護剤を用いずに細胞を凍結保存できるようになりました。このように、微小スケールでの特性を活かした新たな技術開発で、世の中の課題に挑戦していきます。秋山佳丈教授東京農工大学大学院を修了後、日本電子株式会社、東京農工大学生物システム応用科学府特任助教、大阪大学工学研究科講師を経て、2021年より現職。専門分野は、生体医工学、マイクロ・ナノ工学とそれらの融合領域。秋山研究室では、機械や電気の基礎的知識を使って新たな実験系を構築する一方で、細胞等を扱う生物学実験も行います。そのため、卒業生の就職先は、精密機器メーカー、医療機器メーカー、自動車およびその関連メーカー等多岐に渡ります。教員紹介病気や怪我の際、医師はコンピュータシミュレーション結果に基づいて診断や治療方法を決定し、患者さんは結果を見ながら説明を受けることにより自分の症状をよく理解できるようになります。また、私たちの骨の「かたち」と力の加わり方の関係がわかれば、成長を予測することが可能となり、骨に負担がかからないように予防することができます。目指しているのは、お医者さんにも患者さんにも優しい未来です。小関研究室では、「生物」を対象に「機械工学」の考え方を「情報工学」を使って検討しています。このため卒業研究を通じて幅広い分野の知識と問題解決能力が身に付きます。卒業後の進路も多彩で、どんな分野でも活躍できるでしょう。サイズW3cm×H2.65cm配置位置横0.5cm、縦7.42cm研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像細胞のインクジェットによる超瞬間凍結.(a)装置概要.(b)高速度カメラで捉えた吐出の瞬間.(c)格子状に吐出された凍結液滴.超音波を使ってマイクロプラスチックを回収.(a)装置概要.(b)三分岐部(aの赤破線部)の拡大図.(c)四連続分岐によるマイクロプラスチック高濃度濃縮の様子.信州大学医学部整形外科の医師と共同で、脊柱側弯症と呼ばれる疾患の手術について、より安全な手法の検討を行っています。サイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cmサイズW7.5cm×H4.35cm配置位置横11cm、縦2.5cm写真説明骨盤を引き締めるダイエット手法が様々提案されていますが、その効果について力学的な観点からコンピュータシミュレーションを行います。ある手法を続ければ、お腹が凹み、骨盤の横幅が広がってウエストが強調される体形になれるかも!?秋山研究室では、微小なスケールでの現象や特性に着目し、微細加工技術等により医工学や環境問題等へ活用することを目指しています。例えば、インクジェット技術により細胞を微小液滴化し、超瞬間的に凍結することで、世界で初めて凍結保護剤を用いない動物細胞の凍結保存に成功しました。また、環境問題として近年注目を集める微小なプラスチック片(マイクロプラスチック)の回収に超音波が有用なことを見出し、回収装置の開発を進めています。また、細胞を磁気操作し微小な3次元組織を構築する技術や培養筋組織を駆動源とするバイオハイブリッド技術の開発にも取り組んでいます。私たちの身体を支える骨が折れてしまったり変形してしまったときには、その程度によっては手術をして正しいかたちに戻す必要があります。このとき、手術中や手術後に骨に加わる力を正しく見積もらなければ、手術が失敗してしまったり、再手術が必要になってしまうかもしれません。小関研究室では、病院で使われているX線CT装置を使って患者さんそれぞれの骨の「かたち」をモデル化し、体の中で骨にどのような力が加わっているのか、コンピュータを使って解析しています。そして、医師と共同で手術手法の妥当性の検証や、新しい手術手法の提案を行っています。微小化による新技術創出ー細胞凍結保存からマイクロプラスチック回収まで安全・安心な医療技術を実現する、整形外科疾患の手術シミュレーション

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