繊維学部研究紹介2023 日本語版
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18CNTの弾性率が約1TPaの高弾性率材料であることを明らかにした。また、チューブ構造がCNTの強度に及ぼす影響を明らかにした。CNTの表面に、AgNPsを結合させる方法を確立し、AgNPs/CNT複合体を作製できる方法を見出した。透明伝導性フェルムの研究・開発する。耐炎サーマルマネキンを活用した防火服の評価・設計防火服に関わる耐熱・防炎試験方法の研究開発・評価も行います。消火活動用グローブの耐熱評価試験方法の開発及び現行品の評価着用状況を再現し、耐熱・機能性に優れた手袋構造の研究を行います。センサ開発グローブ着装機械・ロボット学科機械・ロボット学科教員紹介飛行機の部材として使う場合に、より軽くより強くすることが求められます。複合材料の特徴の一つは軽くて、強度と剛性が高いことです。炭素材料は、繊維状にすることにより欠陥寸法を小さくし、結晶の方向が一定であるので、より高い強度を示す。特にCNTを用いたナノ複合材料の力学特性、減衰性と制振制の向上が出来、宇宙航行やスポーツ用品などに適用します。研究開発が進めば、CNTの性質を利用して様々な用途への拡大が期待できます。夏木俊明教授日立化成株式会社筑波開発研究所、独立行政法人産業技術総合研究所、NEDO研究員などを経て、2020年より現職。主な研究分野は複合材料の創成、物性の解析および評価に関する複合材料工学、計算科学。材料設計、評価・解析手法に取り組む研究室です。主に繊維メーカー、家電・電機、自動車関連メーカーに就職する卒業生が多いです。その他、ソフトウエア会社の就職、公務員へ進み、幅広い分野で卒業生も活躍しています。教員紹介一つの問題の物理的根拠を大学で習得した幅広い知識により理解し、問題解決のアプローチを探っていける力を育てます。大学内のみならず実社会・災害現場において、自身の研究がどのように活用されているかを実体験し、理想と現実のギャップに理解を深めることは、将来社会人においてもいかに学問と実務とを結び付けるかを考える貴重な機会になると考えます。若月薫教授2005年米国メリーランド大学でPhD取得後、総務省消防庁消防研究センター火災災害調査官・主任研究官を経て2023年より現職。主な研究分野は熱工学、火災工学、実験工学、赤外線分光、労働安全衛生。近年の軽量化・省エネルギー化による機能性高分子材料の開発や用途開拓は目覚ましいものがあります。しかし、その利点である機能性を追求するゆえ、欠点である安全性を見失ってしまうことも多々あります。卒業生には、安全を常に意識した新技術の開発に携わってほしいと思います。機能機械学コース機能機械学コース研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像繊維は様々分野で活用されています。繊維というとまず衣服が思い浮かぶでしょう。繊維の役割は日常生活に止まりません。カーボンナノチューブ(CNT)の発見で世界的に知られ、その合成や評価・解析技術の開発に大きな関心が集まっています。夏木研究室では、CNTの機械力学特性(弾性率、振動、座屈など)を解明し、そのCNTを用いて高機能性複合材料の開発を行います。従来の材料では到達できない独特な性能を持つCNTを生かし、軽量で、より高機能が付与されたナノ機能生材料を創成すること、および様々な活用が期待されます。火災という一つの極限の熱流体に対して、(1)火災という極限熱環境の現象・原理の理解、(2)耐熱服・消防服の内部で生じている熱伝導プロセスの解明・熱傷防止のための衣服構造の開発、(3)火災に耐える、防ぐ、燃えにくくする素材・複合材料の物性・評価法・設計手法の開発、(4)消防士が使用する高度な熱防護機能を有する個人保護具の設計・試作・実証(技術要素の提案)を研究しています。火災から材料及び人を防護することが目標ですが、研究成果は新技術の開発に加え、労働者(ユーザー)の安全啓発(Education)のために発信します。NozzlePETHeat Plate(60℃)防火手袋加熱実験驚異の新素材:カーボンナノチューブ!高機能性ナノ複合材料を作り、解析・評価消防活動の安全を確保し、一人でも多くの市民を火災から救う

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