繊維学部研究紹介2023 日本語版
12/64

Used with permission from ACS Nano 2022, 16, 12801-1281210繊維工学とテキスタイルサイエンスの面から「せんい」に取り組んでいます。繊維工学の面からは、繊維機械やシステムについて検討しています。テキスタイルサイエンスとしては、せんいに潜んでいる法則を見つけていきたいと思っています。人類は古代は石器・土器を、やがて金属や合成樹脂、ついには原子力燃料を製造するところまで来ています。しかし、その間ずっと使われてきたものとして「せんい」があります。なぜ衣服は「せんい」でなければならないのか?これは、大変不思議で、面白く、また挑戦し甲斐がある謎であると思います。皆様が衣服を着て、体温調節の補助、身体の保護等の機能を期待していると思います。しかし、炎天下の屋外から涼しい室内へ行き来する際激しい温度差の原因で、体調不良などを引き起こす可能性が考えられます。それらを緩和するため、個人熱管理可能なテキスタイルが必要です。そこで、本研究室は着用可能で温度調節できるスマートテキスタイルの創製を行っています。また、ウェアラブルな発電スマートテキスタイルや、構造設計による3次元構造を有するテキスタイルなど次世代のテキスタイル開発に関する研究も取り組んでいます。坂口明男准教授長野県上田市生まれ。信州大学繊維学部卒。信州大学維工学専攻中退。信大学院繊州大学繊維学部教務員、同助手を経て現職。現在の専門は繊維工学。先進繊維・感性工学科「せんい」-日本における、先進繊維・感性工学科教員紹介昔は大小さまざまな印刷屋さんがあって、それはなくてはならないものでしたが、パーソナルコンピュータとプリンタは印刷の世界を全く変えてしまいました。印刷業は大きく変わりましたが、誰もが自宅で様々な印刷物を作り出せるほど、印刷の文化は大きく発展しています。業界の成長と文化の向上は等しくないのです。このことは「せんい」の世界にも起こる、あるいは起きなければならないのかもしれません。同じ力のエンジンを積んでいてもレーシングカーとブルドーザーでは得意な仕事は全く違います。どちらが優れているかとか考えるのは無意味です。みんなが互いに得意なところで力を合わせるのが必要と考えます。教員紹介朱春紅准教授信州大学大学院を修了後、大王製紙株式会社を経て、2020年10月より現職。専門分野は繊維工学・紡織工学。主な研究分野は3次元テキスタイルやスマートテキスタイルの創製に関する研究。繊維材料、製布技術に関する専門知識を習得することだけではなく、能動的な学修を身につけ、さらに、グローバル化の視野とコミュニケーション能力を持つ人材育成を目指しています。先進繊維工学コース先進繊維工学コース研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来繊維材料からなるテキスタイルは“衣”“住”のあらゆる場面で活用されています。一方で、IoT社会において、スマートテキスタイル(賢いテキスタイル、スマート衣料とも言う)は材料開発、プロセス(技術)開発、及び実装を経て実用になります。この中、繊維工学や紡織工学とエネルギー、電子通信分野等の学問と融合し、発展に結びつき新しいものを生み出すと考えています。卒業後の未来像暑い環境では余分な熱を吸収し、寒い環境では吸収した熱を放出す真綿から手作りされる紬糸にも法則があるウェブ中の繊維の形を測るることで、温度調節可能なスマートテキスタイル叩くことで機械エネルギーを電気エネルギーに変換できるスマート発電テキスタイル3次元構造テキスタイル(左:円形断面;右:ハニカム断面)このキーワードの未来を考える賢いテキスタイルで生活を豊かに

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る