繊維学部研究紹介2023 日本語版
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9「分光分析装置を使用した繊維製品の新しい鑑別方法を開発する研究」で使用するTHz分光分析装置森川研究室では、管理工学,システム工学,多変量解析,繊維加工技術などを基軸として、蚕・繭・生糸・絹織物・ファッション・マーケットリサーチなど、シルクサイエンスにかかわる幅広い分野を対象とした研究を進めています。カイコの吐糸営繭行動(絹繊維を吐いて繭を作る行動)を数学的に取り扱う方法(モデル化)、絹形成過程の解析、シルク材料への機能性付与、シルクナノファイバーの創製、シルクアパレルを中心としたファッション産業の経営工学的解析などの研究を進めています。高級(ラグジュアリー)ブランドなどのファッションアパレルの画像解析、システム工学的解析やテキスタイルデザインに関する研究も行っています。赤外分光やラマン分光に加えTHz分光分析という新たな分析装置を使用して、繊維製品を計測可能な技術開発に挑戦しています。この技術によりセルロース系繊維や獣毛繊維などこれまで困難であった繊維種同士の鑑別が期待されます。また、FBGセンサという高感度な光ファイバー型ひずみセンサを使用して、手首の脈拍のひずみ信号から脈拍数・呼吸数・血圧など複数の生体信号を同時に計測可能なシステム開発を行っています。将来、簡単に取り扱え長時間使用できるようにリストバンド型やシャツ型などでスマートテキスタイルセンサとしての製品開発を目指しています。児山祥平准教授信州大学繊維学部を卒業、同大学大学院を修了後、信州大学繊維学部技術部、信州大学国ファイバー工学研究所を経て、2022年より現職。専門分野は計測工学、繊維工学。先進繊維・感性工学科先進繊維・感性工学科先進繊維工学コース先進繊維工学コース教員紹介森川英明教授信州大学大学院を修了後、花王、新潟県立短期大学、信州大学繊維学部助教授、准教授を経て現在に至る。専門分野は、繊維工学、管理工学、統計学。教員紹介スマートテキスタイルの評価や開発に向けた新しい計測方法を提案することが研究の目標です。これまで計測できなかった繊維製品の情報を取得する、および新しいスマートテキスタイルを開発することで、より快適な生活を過ごすことができる繊維製品を社会に発信していくことを目指します。21世紀は「光の時代」と呼ばれるように、身近には光センサや計測機器があふれています。これを繊維製品へ応用するというテーマで「新しいモノづくりへの取り組み方」を育み、社会で即戦力となる人材育成を目指しています。研究から広がる未来カイコの作り出すシルクはハイファッション分野の重要な繊維材料ですが、一方で生物の機能・行動に学ぶバイオミメティクスの分野や、シルクタンパクのメディカル材料等への応用が期待されており、先端的な技術と融合して新たなシルクサイエンスの構築が進んでいます。テキスタイルは一本の繊維が階層的に構造化されることで様々な機能と審美性が生まれる魅力的でユニークな材料科学です。卒業後の未来像卒業後は、ファッション・アパレル、繊維業界で製品開発などを手掛けるエンジニアとして活躍する人材となれるでしょう。研究から広がる未来卒業後の未来像カイコ・繭・シルクのサイエンスファッションアパレルの画像解析左:試作したリストバンド型マルチバイタルサインセンサ、右:FBGセンサの繊維製品への導入(左図赤部の拡大図)カイコ・繭・シルクのサイエンス!ファッション工学&テキスタイルデザイン新しい繊維製品に対する計測分野への応用

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