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近畿圏との連携北陸圏との連携中京圏との連携長野県内の連携長野県内の連携首都圏との連携06ログラムで培った連携のノウハウや構築されたネットワークは、今後の広域連携に生かせると考えています。「『かがやき・つなぐ』北陸・信州留学生就職促進プログラム」も、金沢大学との連携により推進してきました。これは、留学生の受け入れと大学卒業後の就職を促すプログラムを提供することで、地方共通の課題である生産人口の減少や産業の衰退に対処しようとするものです。日本の企業文化になじみのない外国人留学生と、グローバル人材・高度職業人材を求めている日本企業とのマッチングを進めています。医療の分野においては、北陸3県の5大学(金沢大学、富山大学、福井大学、金沢医科大学、長野県立看護大学)と連携し、「北信がんプロ」に取り組んでいます。これは、北陸・信州で、がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)の養成を目的としており、がん患者が居住地域で安心して医療を受けるための医療連携と人材育成モデルの確立を目指しています。また、国立研究開発法人日本医療研究開発機構「次世代医療機器連携拠点整備等事業」等を通じ、静岡県の浜松地域(浜松医科大学、はままつ次世代光・健康医療産業創出拠点)と10年以上にわたる交流も行っています。毎年、「信州・浜松拠点間交流会議」を開催し、医療機器開発における情報交換と地域間連携を進めています。成長分野の高度専門人材を育成リカレント・リスキリングにも着手―教育面での構想については、いかがですか。VUCA(ブーカ:Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))の時代と言われるように、社会が複雑化し、不透明さが増している中で、地方では人材の重要さがこれまで以上に高まっていくでしょう。こうしたことから、教育・人材育成の面でも、取り組みを強化したいと考えています。「地域基幹産業を再定義・刷新する人材創出プログラム「ENGINE」」や、「『かがやき・つなぐ』北陸・信州留学生就職促進プログラム」の後継事業である「信州留学生就職促進プログラム「留JOB信州」」といった既存の広域連携プログラムを着実に推進していきます。これと並行して「「しあわせ信州」を創造する地域活性化高度人材育成プログラム」を通じて、県内大学との連携にも力を入れます。県内大学との連携は地域中核大学としての役割を担っていくうえで非常に重要ですし、得られたノウハウを県外大学との連携に活かすことも期待できます。また、同プログラムで育成を目指す高度専門人材はDX(デジタル・トランスフォーメーション)・GX(グリーン・トランスフォーメーション)といった成長分野をけん引する存在であり、長野県のみならず多くの地域でニーズが高く、人材育成の成果を県外に横展開することもできるでしょう。社会の産業構造の変化に対応しようと、社会人向けのリカレント・リスキリング教育も要請が増えています。そのため、地域の中核大学として、地域社会のニーズに応えるプログラム開発に取り組んでいきます。その一環として、民間企業や自治体の課題やニーズに合わせて、研修内容をカスタマイズできるオーダーメイド型の教育研修プログラムを新設しました。本学教員が民間企業などに出向いて専門知識を提供することにより、地域における高度人材の育成に貢献したいと考えています。最近は、学位という形式にとらわれず短期間で特定の専門分野を学び、その学習歴をキャリアアップに活かす「マイクロクレデンシャル」が社会で注目されていますので、ニーズは高いのではないかと思います。このように、リカレント・リスキリングの分野で大学のリソースを活用した教育を提供できれば、大学の価値をより高めることに繋がるのではないでしょうか。本学は多くのリソースを持っており、リカレント・リスキリング教育の場として大きな可能性を秘めていますので、そのあり方をさらに探求していきたいと思っています。ギアを一段上げて改革を前進中長期戦略を考える新組織も創設―最後に、ビジョン実現に向けた心構えをお聞かせください。2023年3月、本学の多様な知を集結した戦略的組織「アドミニストレーション本部(AHSU)」を設置しました。より多様化・複雑化する社会課題に対応するため、大学経営に関する情報の収集と解析を行い、中長期的な大学経営について企画立案や、学内のマネジメント支援を行う組織です。今後、AHSUを中心に、VGSUを具体的な施策に落とし込み実行していくことで、新たな価値を創造し社会発展をけん引していきます。冒頭でお話ししましたが、本学の価値創造と社会的責任を果たすための具体的な行動計画として、「信州大学改革実行プランinGEAR」を2022年度に策定しています。さらに今回、VGSUを掲げたことで、本学の目指す姿がより明確になったと思います。信州大学は、VGSUの旗印の下で、隣接する市町村や県とも連携し、広域での産学連携や地域連携に取り組み、この地域と一緒に発展する未来に貢献していく所存です。地域中核大学としての信州大学に引き続きご期待ください。アース学長インタビュー

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