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ol.9「高圧加工米」という画期的新技術!開発した新しい高機能米「高圧加工米」に関する特許です。高圧加工米は、白米の見た目・食味でありながら、玄米の健康機能性を持たせることができるお米で、玄米や籾を高圧力下で処理してぬかの栄養成分を胚乳(白米)に移行させるという画期的な技術で実現します。さらに高圧処理することで、精米しても割れにくく製品ロスが防げるといったメリットや、最近では、健康運動と組み合わせることで血糖値の上昇を抑制する効果も確認されています。近年、お米の需要が減少傾向にあるなかで、米の新たな市場開拓にも貢献しそうな高圧加工米。その技術を詳しくご紹介します。(文・佐々木政史)09開発した「高圧加工米」です。ちょっとした工夫はありますが、「作り方はいたってシンプルです」と、藤田教授は話します。高圧処理装置の中に玄米と水を入れ、変質しない温度まで加温して100MPa(水深1万メートルの水圧に相当する圧力)の圧力をかけます。その後、取り出して冷まし、元の玄米の重量まで乾燥させたうえで、あとは精米するだけです。ポリフェノールは玄米の7割も「高圧加工米」には3つの特許があります。一つ目の特許は、玄米の栄養成分を白米に移行させる特許です。具体的には、玄米に加水・加温して加圧処理させることで、ぬかの栄養成分であるビタミンやアミノ酸などを、内部の胚乳に移行させるというものです。特にポリフェノール類は玄米の7割近くが移行、元の白米の約3倍に増えることが確認されています。信州大学学術研究院(農学系)高圧加工米の製造の仕組み。加水・加温・加圧することで、玄米の栄養成分 二つ目の特許は精米時に割れにくくして、精米ロスを減らせるというものです。玄米を加水・加温、100MPa程度の加圧下で処理することで、精白米の歩留まりが向上、精米時のロスを削減することができます。三つ目の特許は、インターバル速歩と組み合わせることで血糖値を制御しやすくなることが分かりました。インターバル速歩とは「さっさか歩き」と「ゆっくり歩き」を数分間ずつ交互に繰り返すウォーキング法で、信州大学の能勢博特任教授が考案したものです。インターバル速歩を行うことで血糖値を下げる効果が分かっていますが、血糖値が下げ止まっている人に「高圧加工米」を4か月間食べてもらいました。信州大学の研究シーズを技術移転する信州TLOとのコラボで制作した、特許技術「見える化」映像シリーズの第9弾。今回ご紹介するのは信州大学学術研究院(農学系)藤田智之教授が加水・加湿・加圧栄養 見た目と食味 玄米の栄養素を白米でも!日本人の主食であるお米は、言うまでもなく、私たちの食生活に欠かせない栄養源で、特にエネルギーの源となる炭水化物を得るために必要不可欠です。加えて、精米する前の玄米には、ビタミン・ミネラル・ポリフェノールが豊富で、食物繊維の不足も補えるため、健康維持にはうってつけ。ただ、玄米は長時間水に浸す手間や、食味の点から、日常的に食べることにハードルの高さを感じている人が多いのが実情です。そのため、「白米の食味と手軽さで、玄米が持つ栄養を得られたら―」こう考える人も多いのではないでしょうか。実はこの夢のような願いを叶える技術があります。信州大学学術研究院(農学系)藤田智之教授が藤田 智之教授V白米でも玄米とほぼ同等の栄養価

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