11りんごの芯や搾りかすを粉砕しポリウレタン樹脂と混ぜたものを、綿などの下地にコーティングして造ります。一般的な合成皮革は石油を原料とするポリウレタン樹脂を下地にコーティングして作りますが、りんごレザーはこれにリンゴの搾りかすを混ぜて造ります。世界的に石油資源の枯渇が懸念され志を持っていきいきと活躍する信大同窓生を描く新シリーズの第2弾。りんごと革製品…この一見ミスマッチに思える組み合わせ、実は世界的に見ても最先端で、ソーシャルグッドな取り組みです。信州大学繊維学部で感性工学を学ばれた(株)SORENAの代表取締役である伊藤優里さんは、りんごの搾りかすを原料とした“りんごレザー”を日本で初めて開発し、環境への配慮、食品廃棄問題に対応するエシカル消費などの観点から大きな注目を浴びています。多くのビジネスコンテストで受賞し、本格販売前に実施したクラウドファンディングでは目標金額の20倍以上の支援額を集めました。可能性に満ちたりんごレザーを通して伊藤さんが描く未来とは?(文・佐々木 政史)るなか、できるだけ石油を使わずに作ることができることや、りんご残渣の有効活用方法という観点から、“エシカルなテキスタイル”として社会的に注目度が高まっています。ソーシャルグッドであるだけでなく、質感や機能性も高いレベルを実現。しっとりとした手触りは天然皮革そっくりで、耐久性も従来の合成皮革と遜色ありません。リンゴの搾りかすを乾燥させ、粉末状にしたコーティング素材。言われないとりんごの粉末とはわからない。伊藤さんがりんごレザーの開発に至ったきっかけは、以前に働いていた長野県内のフルーツ加工会社で抱いた“食品の輸入に対する違和感”でした。その会社ではジャムに使用する果物の多くを輸入にりんごレザーのブランドロゴをあしらったコースター。とても高級感がある。非常にやわらかくなめらかな触感が特徴。りんごレザーを使った各種製品と伊藤優里代表。とういゆり培った志を胸に、社会で活躍する素敵な大人たちりんごの搾りかすで造る合皮手触り感はワンアンドオンリー「りんごレザー」をご存知でしょうか。これはその名の通り、りんごを原料とした自然由来の新たな合成皮革です。社会への違和感と不透明感…次代に安心な社会を引き継ぎたいこのリンゴレザーを日本で初めて開発したのが、株式会社SORENA(長野県長野市)。信州大学繊維学部で感性工学を学んだ伊藤優里さんが代表取締役を務めるスタートアップ企業です。繊維学部感性工学科同窓生chapter.02ユーザーとつながる「それな!」のモノづくりで感動を。“りんごレザー”国内初の製品化株式会社SORENA代表取締役さん信大同窓生の流儀伊藤優里
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