10KanseiEngineering吉田教授の研究分野は、モノの使い心地評価。メーカーの協力依頼を受け、商品開発段階における使い心地評価を数多く手掛けてきました。これまでの実績は、椅子やバイクの座面、ランドセル、リュックサック、眼鏡、寝具、筆記具、靴、パソコンなど、実に多種多様。「企業からの依頼には、基本的に来るもの拒まずという姿勢でいます」(吉田教授)という包容力からでしょうか、メーカーからの共同研究の依頼が引きも切らずに寄せられています。例えば、かばんのフジタ(山形県)の依頼を受けて行ったランドセルの使い心地評価の研究では、加速度センサーを活用。身体とランドセルにセンサーを貼り付け、使用時の動きの様子を観察しました。吉田教授の熱意に動かされ、カバン店の専務のお子さんが山形県からわざわざ来て実験に協力してくれたと言います。また、椅子の座り心地評価では、圧力を測ることができるシート状のセンサーを活用。試作品の座面にセンサーを敷いてお尻に掛る体圧分布を計測し、できるだけ体圧が分散する形状を探りました。衣服の着心地評価では、衣服圧を計測できるエアパックセンサーを活用。衣服と身体の間にセンサーを張り付け、動作時の衣服圧を計測して製品開発に活かしたと言います。そもそも、なじむとはどのような状況でしょうか。人がモノを使用するなかで、「モノがユーザーに合わせて変化する」、あるいは「ユーザーの方がモノに合わせて使い方を変える」ということがあります。そして、こうした結果として、ユーザーとモノが一つに調和する、これこそが“なじむ”ことだと吉田教授は説明します。一般的に製品は使い始めの新品-*!
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