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スポーツ庁長官室伏広治かったです。室伏:結城先生とは、10年くらい前に日本体育学会のシンポジウムを一緒にさせて頂きました。結城:あのときは3日連続で晩ご飯を一緒に食べましたね。室伏:もちろんその前から先生のことを私の研究者仲間から伺っていました。スラップスケート(※1)が出てきたときに、これは必ず記録に結びつくと。それを科学的にしっかり証明した経緯を聞いていました。※1 スラップスケート:かかとの部分と刃(ブレード)が離れる構造のスケート靴。ブレードが氷に接する時間が長いため、効率的に力を伝えられる。オランダで開発され、1996年シーズンから選手が使用し始めた。──まずはアスリートとキャリアについて、みなさんの考えを伺いたいです。室伏:私のキャリアは、父の影響が大きいですね。父は大学教授として授業を持ち、合間にトレーニングをしながら41歳まで現役でした。私もほぼ同年代まで競技を続けましたが、限られた時間の中で効率よくやることが大事だという考えは共通しています。毎日練習だけをしていても、なかなかメリハリをつくるのが難しい。学校や会社など、社会の中に少しでも身を置いて競技を続けることを大切にしてきました。結城:室伏さんや小平さんとは競技レベルが違いますが、私も世界で戦った経験が少しあり、そのときに「デュアルキャリア」という考えを持ちました。よくアスリートの「セカンドキャリア」と言われますが、私はどこか将来に不安を抱えているイメージを持ちます。そうではなく、競技をしながら、将来につながる活動もしていく。そのようなことがデュアルキャリアだと思います。私はもともと研究者を目指していて、自分の研究から出てきたことが世界で言われていた常識、オランダの理論と違うことに気づきました。その知見を持って、セルフコーチングのように自分の競技力を急激に伸ばしたことがあります。デュアルで何かをやることは相互にいい影響を与えるのだと考えています。小平:私は信州大学に進学を決めたときに、二つの夢がありました。一つは学校の先生になりたい、もう一つは五輪選手になって世界で活躍したいという夢です。学ぶことに対する興味が昔からすごく強く、結城先生が指導する姿を見て「先生のような先生になれたら理想だな」と選手でありながらもずっと思っていました。学びを引き出し、学生の思考を刺激する。そんな教育者になれたら、人生がすごく豊かになる。自分自身も学生からいろんな刺激を受けながら生きていけると思ったので、身近なお手本は結城先生です。室伏:指導者としては最高の言葉ですね。先生のようになりたいって。結城:ありがとうございます(笑)。室伏:教えることで学ぶこともたくさんありますよね。自分の気づいたこと、取り組ん信州大学広報スタッフ会議広報アドバイザー朝日新聞社ソリューション・デザイン部次長川﨑紀夫氏 KAWASAKI Norio2002年朝日新聞社入社。広告営業部門、記者部門を経験し、18年より現職。信州大学の広報アドバイザーを14年から務める。04学術研究院の結城匡啓教授、お迎えしました。教えることと学ぶこと競技と指導の間に司 会リア、わり

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