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松本キャンパスは全学部の1年生が過ごす場所であるだけに、交流を促す中央広場の役割は大きそうです。なお、マスタープランでは、中央広場を学生や教職員だけでなく地域へも開放して地域とのつながりづくりの場としても広場の活用を進めていきたい考えです。また、災害時には広域の避難場所にもなり得ます。長野(工学)キャンパスも、学生や教職員のためだけでなく、地域の皆さんとのつながりづくりも見据えた広場の整備に力を入れる方針です。同キャンパスは既に真ん中に中庭がありますが、今後は保健室などの施設を移転検討し南北に貫く広場として拡大することを提案しています。上田キャンパスも、地域への開放も念頭に置いた広場の整備計画をマスタープランに盛り込みました。正門からまっすぐ伸びるメインストリート「つむぎの道」の突き当りにあるグラウンドの芝生化を提案しています。長野教育キャンパスは、地域とのつながりづくりに向け、広場の整備に加え、新たに「地域未来共創棟」の建設計画を提案します。これは旧第一体育館の跡地を活用したもので、地域の教育機関や企業などを誘致したい考えです。もう一つ、今回は、キャンパスでより豊かで快適に過ごせるよう「歩行者の安全」も大きなテーマに掲げます。「大学は夜遅くまで研究することも多い。時には熱中して徹夜もある。たとえボンヤリしていても安全に歩ける環境は、大学が大学でありつづけるためにとても重要な要素」と寺内座長は歩行者が安全に過ごせる環境の意義を強調します。交通量の多い公道が通っていることから、かねてから歩行者の安全が強く求められていたのが、伊那キャンパスです。マスタープランでは公道への減速帯の整備に加え、東門と北門を新設して自動車の入口大学の運営側に身を置く経験は貴重でした。マスタープランの検討会に参加する中で、だんだんと運営側の考えを理解するようになりました。特に勉強になったのは、限られた資金の中では優先順位の考えを意識する必要があるということです。学生としての視点では、全体を見ずに思うままに「こうしたい」「ああしたい」と思ってしまいがちです。しかし、それでは限られた資金がすぐに尽きてしまいますので、プロジェクト全体を考えて優先順位を意識することの重要性を学びました。もう一つ、組織をマネジメントする経験も、プロジェクトに参加したからこそ得られたことです。私は学生リーダーとして、全6キャンパスのプロジェクトに関わる学生・教職員とのやり取りを引き受けていました。プロジェクトの関係者には実に様々な方がいる中で、それぞれの意見を調整しながら全体をまとめる経験をしました。これまでの学生生活では与えられた課題をこなせばよかったのですが、マネジメントというのは決まった答えがないなかで、臨機応変に対応することが求められます。その経験ができたことは今後の財産になりそうです。を複数設けることで公道の交通量の減少を見込みます。上田キャンパスも歩行者の安全・安心の確保に力を入れます。メインストリート「つむぎの道」を歩行者専用道路とし、自動車はキャンパス内の環状道を走るように「歩車分離」の動線計画を検討します。大学の未来の姿を示すだけに、とても重要なマスタープランですが、実はその存在を知らない人が多いことも事実。そのため、寺内座長は「これからが本番」と意気込んでおり、課題である認知の拡大に力を入れていく考えです。大学の運営側と連携しながら、ホームページを通じた情報発信に取り組む予定です。寺内座長は今回のマスタープランの次の段階も見据えます。メインテーマのひとつである「広場の整備」と関連し、緑がキャンパスの快適性にどのように影響するかを、理学部や農学部などと連携して客観的に示しながら、キャンパスのGX(グリーントランスフォーメーション)を推進していきたい考えです。また、学生との協働も推進し、建築学科以外の学生もマスタープランづくりへ参加する仕組み作りも検討しています。自然災害への備えが必須となっている。さらに、環境への配慮やカーボンニュートラルに向けて、大学が率先して行動を起こすのは、「今」である。10プロジェクトの学生リーダーに聞く「参加してみてどうですか?」“運営側”に立つ得難い経験信州大学工学部建築学科 寺内研究室 4年生青木 健祐さん安心して歩けるよう、歩車分離も全キャンパスキャンパスの環境・インフラ信州大学学術研究院(工学系) 高村 秀紀教授を策定

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