多くの大学ではキャンパスの中長期な整備計画を「キャンパスマスタープラン」(以下マスタープラン)という名称で策定しています。信州大学でも5年ごとに策定しており、今回、新たなマスタープランを発表しました。マスタープランは大学の運営職員が主導して策定するのが一般的ですが、信州大学では教職員が積極的に関わっている点が特徴です。長野県内に分散するキャンパスごとに、工学部建築学科教員が加わったチームを組織し、マスタープランを策定してきました。これに加えて、寺内研究室を中心に学生との協働を積極的に推進。学生には実務作業の補助にとどまらず積極的にプラン内容への意見を求めることで、教育的効果も期待しています。信州大学のキャンパスは長野県内4地域に分散し、前身校の歴史や地域とのつながりによってそれぞれに独自の進化を遂げてきました。今回、さらに進化するための新たな整備計画「キャンパスマスタープラン」を策定。今後、その認知を学内外へ広めることで、計画の実現に繋げていきたい考えです。工学部建築学科の寺内美紀子教授(策定プロジェクトチーム座長)に、キャンパスマスタープランを通じて描く信州大学の未来を聞きました。(文・佐々木 政史)今回の新たなテーマのひとつが、「広場」の整備に力を入れることです。「キャンパスの整備というと、建物の建設計画を思い浮かべがちですが、心地良い時間を過ごすためには、建物のないオープンスペースが非常に重要」と寺内座長は言葉に力を込めま信州大学学術研究院(工学系)寺内 美紀子教授PROFILE1989年九州大学工学部建築学科卒業。1992年東京工業大学大学院修士課程修了。2012年信州大学准教授に就任、2018年10月より現職す。芝生敷きの広場を整備することで、学生や教職員が憩える場を計画します。6キャンパス(教育学部長野附属を含む)の中で、この方針を中心に据えたのが、松本、長野(工学)、上田のキャンパスです。このうち、松本キャンパスでは、医学部、理学部、全学教育機構(※)の校舎に囲まれたキャンパスのちょうど中心地に「中央広場」の整備を提案。加えて、広場に至る道に樹木を植栽して並木道を整備することで、広範囲な緑を通じた憩いの場を創出したい考えです。同キャンパスの真ん中はこれまで駐車場でしたが、立体駐車場を新設したことなどから、800台以上を収容できるため、今回の提案に至っています。(※)2023年4月1日より全学教育センターに改称09キャンパスでの“広場”の重要性信大キャンパスはどう変わる!?新「キャンパスマスタープラン」緑豊かで、安全・安心な環境をShinshuUniversityCampusMaster Plan2023
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