理学部研究紹介2023
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超微小電極の先端光物性研究室金 研究室研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来O2・-を直接検出できたことは、光触媒反応のメカニズム解明に役立ち、活性、抗菌作用の評価、また高活性光触媒の構築において重要な指針となります。近年、ROSは様々の病気の引き金になる原因の一つとしてクローズアップされ、医学分野で広く研究が行われてきました。金研は、信州大学次世代医療研究センター(http://shinshu-ngm.jp/)の共同研究にも加わっており、 ROSの生成抑制や消去作用の基礎研究は、新規薬物療法や新しい予防法の開発、健康維持のための応用研究につながることを期待しています。卒業後の未来像テラヘルツ波科学とメタマテリアルが専門。髙野 恵介 助教大阪大学工学研究科 精密科学・応用物理学専攻終了。博士(工学)。金 継業 教授1993年3月名古屋大学工学研究科工業分析化学専攻 博士後期課程修了、博士(工学)。岐阜大学工学部助手、岐阜大学機器分析センター准教授を経て、2010年より現職。活性酸素(Reactive Oxygen Species、ROS)は、酸素分子が化学的に活性に変化した化学種の総称であり、金研究室は、ROS の生成反応に関する基礎研究を行っており、電気化学的、分光的な手法を駆使して、短寿命で、極微量のROSを高感度かつ高選択的に検出するための電気化学センサーの開発に取り組んでいます。これまで、タンパクと機能性ナノ材料をハイブリット化した第三世代の電気化学バイオセンサーの開発に成功し、光触媒反応や超音波照射によるROSの生成メカニズムの解明に用いられています。一方、ROSの発生を抑える作用のことを、抗酸化作用と呼んでいます。ROSにより引き起こされる疾病、老化にかかわる反応を理解し、生体中の抗酸化能の評価及び生理的役割を明らかにするために、電気化学発光(ECL)技術による抗酸化能の計測、とりわけROSに対する消去能を評価できる新しい分析方法論確立に挑戦しています。スマートフォンが通信する電波や、リモコンの赤外線、目に見える可視光、レントゲンのX線など、呼び名は違いますが、これらは全て空間を伝わる電気と磁気の波である電磁波です。自然界の物質はそれぞれを構成する原子や分子の性質によって、いろいろな周波数で振動する電磁波に対して様々な応答を示します。一方で、電磁波の波長よりも小さい構造を物質に人工的に作ってやれば、新たに電磁波応答を付け加えることもできます。そのような人工構造で自由度高く電磁波応答を設計した物質のことをメタマテリアルと呼びます。メタマテリアルで生じる新しい電磁現象の発見や、これまでにあまり使われてこなかったテラヘルツの周波数帯の超高周波電磁波を操る新しい技術を目指した研究を行っています。メタマテリアルは、光・電磁波のあるところどこにでも応用可能性があります。ほとんど厚さがないカメラや、超高速な無線通信でテレビ裏の配線がスッキリなくなるといった未来技術に使えるかもしれません。そこには、まるでプリンタで印刷するように簡単に作られた望みの電磁波応答を持つメタマテリアルが使われている、という未来を夢見ています。まずは研究に関連している、光デバイス、光・電磁波計測や通信など、光や電磁波を扱う分野へ視野が広がります。見えるものが増えたら、それまでに学んだことをてこにして自由自在な自分の未来をこじ開けて欲しいと思います。近年、金研究室の卒業生のうちの半数以上は大学院に進学しています。卒業生は化学・材料系をはじめ、自動車、エレクトロニックスなど幅広い分野で研究者・技術者として活躍しています。その他、教員や公務員になる学生もいます。13京都、東福寺の庭園にある市松模様。古くから親しまれたこの模様も電磁波の応答をデザインするために利用できる。微細加工で作製した金薄膜の市松模様。理想的な市松模様に構造を近づけていくと、急に電磁波を吸収し始める。金ナノ粒子/導電性高分子複合材料による超微小電気化学センサーの開発とROSの局所センシング技術の確立電気化学発光(ECL)による食品の抗酸化能(ROSの消去能力)評価法の開発の開発(地元企業 八光電機株式会社との共同研究プロジェクト)理学科理学科化学コース物理学コースかたちで電磁波をあやつる食品、医療分野における活性酸素種を   検出のための電気化学センサー

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