理学部研究紹介2023
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小竹 研究室奥山 研究室研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像小竹 悟 教授東京大学理学部卒業、大学院理学系研究科博士課程修了、理学博士。信州大学教養部講師、理学部講師、助教授を経て、2006年から現職。研究分野は素粒子理論、数理物理学。も重要であることがわかってきました。奥山 和美 教授1994 東京大学理学部物理学科卒業、1999 東京大学大学院理学系研究科博士課程修了 (博士(理学))考えている対象にある操作を施しても変わらない場合、対称性があると言います。例えば、正三角形の板は中心の回りに120度回転しても元と同じ状態になり、120度の回転対称性があります。物理学という学問は、自然現象をよく観察し、その中に潜む法則を探り出して理論を作り、その理論を用いて自然現象を説明する、という事を行うものです。理論が持つ対称性が分かると解析が容易になります。保存則は対称性の帰結として理解され、例えば、エネルギ-・運動量・角運動量の保存則はそれぞれ時間の一様性・空間の一様性・空間の等方性という対称性に起因するものです。逆に、対称性を理論構築の際の指導原理として用いる事もでき、素粒子理論の標準模型はゲージ不変性という対称性を持つゲージ理論で記述されています。超弦理論では共形不変性や超対称性など様々な対称性が現れ、その様な対称性を表す代数の研究等を行って来ました。最近では解ける量子力学模型を研究しています。素粒子理論の研究で学んだ知識を直接活かせられる職業は大学教員くらいしかないでしょうが、学んだ考え方や問題解決の手法はどこへ行っても通用します。車が好きなので自動車メーカーへ、航空管制官になりたかったので資格を取って国土交通省へ、この様に就職した卒業生の様に、生き甲斐を見い出せる就職先を見付けて下さい。物質を細かく分けていくと何からできているのか?この古代ギリシア以来の疑問を研究するのが素粒子理論です。私は物質の究極の構成要素は粒子ではなく「ひも」であるという超弦理論を研究しています。最近の研究によって「ひも(弦)」だけでなく様々な次元の広がりを持つ「膜(ブレーン)」また、平面上の情報から立体が浮かび上がるホログラムのように、時空の量子的な性質の背後には「ホログラフィー原理」があり、低次元の膜(ブレーン)の上の情報から高次元の時空が創出されるという現象を詳しく調べています。対称性を表す無限次元代数の研究を以前行い、それらは重力の量子化を含む超弦理論と関係するものが多かったのですが、超対称性をもつゲージ理論との関係も近年見い出されており、その方向への発展が続いています。最近行っている解ける量子力学模型の研究では、新しいタイプの直交多項式を系統的に構成する事が出来たのですが、これはこの分野の数学に新たな1ページを加えるもので、更に発展して行く事が期待されています。超弦理論は、重力を時空の曲がりとして表すアインシュタインの一般相対性理論と、微小な世界での物理法則である量子力学を矛盾なく統一できると期待されています。超弦理論は未完成の理論ですが、完成した暁には宇宙のはじまりやブラックホールの性質など、時空の量子論にまつわる多くの謎が解明できるはずです。遠い未来には時間や空間を自由に操作できるようになっているかもしれません。大学卒業後は、大学院へ進んでさらに最新の研究について学んだり、IT企業などに就職して大学で学んだ知識を生かして活躍しています。8ボルツマン重率がヤン・バクスター方程式を満たす面型の可解格子模型の角転送行列と頂点演算子。自由場表示を用いて相関関数が計算できる。仮想状態波動関数を種関数とするダルブー変換による等スペクトル模型の構成法。この方法を用いて新しいタイプの直交多項式が系統的に構成された。ブレーンに端を持つ開いたひも様々な次元に広がったブレーン理学科物理学コース理学科物理学コース対称性の観点から物理を捉える超弦理論とブレーンの世界

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