附属松本中6年次 実施報告書
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⚫ 教育課程の評価・改善について,令和4年度は主に,領域から教科への接続のタイミングと,小学校高学年での英語科,技術科の設定の妥当性について研究開発を行った。 ⚫ 幼小中一貫の視座から「信州ラウンドテーブル2022」を実施した(10/29)。「遊び」「遊びの領域化」「領域の教科化」「教科等の総合化」の保育・授業を公開し,保育・授業を語る会を開いて,学外の教育学研究者及び来校者の意見等に基づき,本研究開発の評価を行った。 ⚫ 福井大学理事松木健一先生を講師にお招きし,講演会を行った。 ⚫ 合同教員会やラウンドテーブルなど,異業種の実践者との交流の場で,実践記録を報告したり,実践を傾聴したりして,実践成果の共有及び情報収集を行った。自らの実践の枠組みや思考・判断のあり様を他者と相互評価し,妥当性の高い実践記録となるように改定するとともに,実践の再構成を図れるようにした。 ⚫ 教育課程の全体像を評価・改善しながら,探究的に学ぶ生徒の姿や実践を再構 成する教師の思考や判断に焦点を当ててデータを蓄積してきた。 3 研究開発の経緯 延長第2年次 (令和4年度) ※年次ごとの実施内容の概要は,17頁に記載 4 研究開発の内容 (1)「たくましく心豊かな地球市民」を育む12年間の教育課程「学びの総合化」 本学校園には,子どもの「思いや願い,問い」から活動を立ち上げ,その質を高めながら探究的な学びを促すという教育観がある。12年間の教育課程を編成し,「学びの総合化」の具現化のための実践やその省察,再構成のサイクルの中でも,その教育観は常に私たちの底流にあり,子どもの「思いや願い,問い」と探究的な学びは地続きであるということが,私たちの教育実践の足場になっている。それはつまり,子どもの,新しいこと・知らないことに向かっていく力,伸びていこうとする力を,多くの職員の目で捉え,それを語り合いながら明らかにしようとし,さらに伸びていくような場面をつくるなどの支援をしていくということであり,それは,子どもを肯定的に捉え,もっとその子どもを肯定的に捉えうるような場面をまなざしていくことである。 また,そのように,目の前の子どもが,「何に心を動かされているのか」「何を楽しいと思っているのか」と,その子の「思いや願い,問い」を探ったり,他の職員と子どものよさや学びの姿を共有したりする中で見えてきた,「自己表現力」(自分らしく表現する姿など)や,「課題探究力」(自分なりのこだわりを追究する姿など),「社会参画力」(友達と一緒に協働する姿など)を,本学校園の子どもに内在するよさとして捉え,その3つを,本学校園の子どもを見つめる共通の視点としている。今では校園種を超えて,この「3つの力」を視点に,子どもの姿を捉え,その子の高まりや変容を語り合えるようになってきている。 子どもがもともと持っている資質・能力の強みである「3つの力」を視点に子どもの姿を見ていくと,子どもは自分の「思いや願い,問い」をもとに,とことん活動にうちこんだり,とことん追究したり,探究したりしていることがより鮮明に見えてきた。そして,他の資質・能力の要素を巻き込みながら,豊かに学んでいけることが見えてきた。こうした見方を共有しながら私たちは,「たくましく心豊かな地球市民」に向けて「「思いや願い,問い」をもとに,やりたいことや目標に向かって「3つの力」を発揮している姿=学び」を幼小中12年間通して支えるための教育課程を編成した。(図1) - 2 -

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