附属松本中6年次 実施報告書
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- 41 - 昨年度と比較して,質問項目1,2,3,4,5,6,8の項目について「高い」または「やや高い」と感じている職員の割合が増加していることが明らかとなった。 質問項目1「教育課程への意義や目的」,質問項目2「探究(探究的な学び)への理解」について肯定的に感じている職員の割合が10%以上増加した。4月に合同教員会を行い,幼小中の研究部より「本研究開発の意義や目的,計画」について,幼小中の全教員に対して説明し,全教職員の共通理解を図ったり,また,幼小中の職員を入り混ぜてのグループを編成し,昨年度の実践について語り合う場を設定し,研究の成果や課題を共有できるようにしたからであると考えられる。本学校園は,研究に取り組む職員が県教育委員会の採用のため,年度ごとの人事異動により,人の入れ替わりが激しい。そのため,年度当初に,研究の意義や目的,昨年度までの成果や課題について共有していくことが,研究開発を進めていくうえで欠かせないと考える。 質問項目3「教科等における指導のあり方(見方・考え方等)への理解」,質問項目4「カリキュラムマネジメント(目標・内容・配列・評価・編成)への理解」,質問項目5「子どもの遊びや教科の芽,教科を超えていく芽を見出すことへの理解」についても肯定的に感じている職員の割合が10%以上,増加した。 「今年度の各学校園での授業,研究会,合同教員会,信州ラウンドテーブル等を通して,自らの子ども観や指導観に関して変容したことや再確認したこと等を書いてください」に対して,「授業において,子どもの姿から意図と見通しを持って教師が支援をし,その支援により子どもがどう考え行動したかについて,さらに思考判断して教師の支援を考えていく。それがとても重要で,そのためには子どもをよくみなければならないということを認識しました。」,「今までは,保育の環境構成を考える際に『どのようなものがあると楽しくなるか』ということを考えがちな自分がいた。しかし,子どもたちが何の遊びに楽しさ,おもしろさを見出しているのか,その子の思いを捉え,その思いを支えるために必要な援助は何かという,子どもの目線に立って保育を考える視点を持ちつつある。」という記述があった。子どもの姿や,「思いや願い,問い」を丁寧に捉えること,そして,探究的な学びを支えるために,教師として何ができるのか,何をすべきなのか,実践し,省察することを通して,考えることの大切さを感じるようになっていることが分かる。 その他の回答を分析すると,教師がいかに上手に教えるかというスタンスから,子どもの姿や思いを丁寧に捉え,子どもの探究的な学びをどのように支えていくのかというスタンスへと指導観を更新したり,再確認したりする教員が多いことが分かった。また,「教材研究を深め,生徒がどんな課題解決や探究的な活動を行えるか見通した単元計画を構想したい」,「子どもたちが主体的に遊ぶとはどういうことなのか,またそのためにもっとできることはないのか考えていきたい」など,多くの職員が,今後さらに,子どもの探究的な学びを支えるためどうすればよいのかを主体的に考えていこうとしていることが分かった。 各学校園の『子どもから』に徹した実践と共に,合同教員会やラウンドテーブルにおいて,子どもの学びの姿を中心として,自らの実践と省察を語り,自らの実践を意味付けたり,編み直したりすることが,子どもの探究的な学びを支えるためにも重要であると考える。 質問項目10については,研究開発の進捗状況は計画通りであるかを,職員がどのように捉えているのかを尋ねたものである。「高い」「やや高い」と回答した職員の割合は,3割強にとどまり,「やや低い」「低い」「分からないの」の割合が7割弱と高くなっている。4月の合同教員会で「本研究開発の意義や目的,計画」について説明したものの,達成度や進捗状況については説明をする機会をもつことができなかった。 質問項目9「12年間の特別の教育課程は有意義だと思うか」については肯定的な回答が7割を超えていることから,それぞれの職員が有意義であると感じたことを全体で共有したり,達成度・進捗状況を研究部から全職員へ説明し,全職員が進捗状況を把握したうえで,実践研究を積み重ねていくことが大切であると考える。

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