附属松本中6年次 実施報告書
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(3)小学校高学年における英語科,技術科の新設の評価 - 37 - 較して,「とても当てはまる」と答えた生徒の割合が,【自己表現力】の「対象に関心を寄せて,見たり,聴いたりしている」の項目では+7.7ポイント,【自己表現力】の「自分の心の中に生まれた思いを,他者に伝えるために,伝える言葉を選んでいる」の項目では+4.5ポイント,【自己表現力】の「相手や場に応じて,伝える方法を工夫し,表現している」の項目では,+7.5ポイントの上昇がみられた。一人一台端末の導入により,教師が,生徒一人一人が自分の端末を用いて,学んだことをまとめ,表現する活動を十分に確保したことが理由の一つとして考えられる。今まで,まとめ・表現する活動では,紙や模造紙にまとめることが一般的であった。紙や模造紙にまとめることのデメリットとしては,完成するまで友と共有ができない,大幅な修正ができないなどがあった。しかし,一人一台端末の導入により,友達との情報の共有が簡単にできるようになり,友の意見を参考にしながら,何度も修正を繰り返すことができるようになった。このことにより,より相手に伝わりやすい方法や工夫を考えることができたのではないかと考える。 また,アンケート結果から,平成29年度と令和4年度とを比較したとき,「当てはまる,やや当てはまる」と答えた生徒の割合が,自己表現力と課題探究力,社会参画力全てにおいて上昇傾向であることが把握できた。 この結果から,課題に対して粘り強く取り組む学習を通して,友や地域に発信していく必要性が生まれ,仲間とともにそれをどのように伝えるか内容や言葉を選んで表現を工夫し,自らの学びを生かしていく有用感や活動する喜びを感じていくなど,(自己表現力,課題探究力,社会参画力)の3つの資質・能力が関連付けられながら伸びているのではないかと考える。 (2)【遊びの領域化】と【領域の教科化】の接続について ことば領域とかがく領域については教科への接続は,2学年と3学年の間が妥当であること が事例での子どもの姿や対象との関わり方から見えてきた。昨年度と本年度,低学年で教科の学習の経験のある4~6年の児童にアンケートを行ったところ,昨年度と比較して大きく変化があった項目は「①領域の授業(ことば,くらし,かがく,ひょうげん)を受けた時に,教科の授業をやりたいと思ったことがある。(例 算数の授業中に理科の疑問がわいたり等)」「②低学年のときの授業中に,その授業の教科とちがう教科をやりたくなったけれど,その授業の教科とちがうために,我慢したことがある。」である。 「とても当てはまる」「やや当てはまる」と回答した子どもは,①については,昨年度53%だったが,本年度は70%に上昇した。②については,昨年度58%だったが,本年度は40%まで低下していることが分かった。 これらの結果から,領域でそれぞれの児童の対象との関わりを支えたり,子どもの「思いや願い,問い」を支えたりすることが結果につながっていると考えられる。その子の探究を支えていけるような単元デザインを構想したり,その子の探究を見取り,支えようとする教師の思考・判断に焦点をあてて授業を構想してきたことが結果につながっていると考えられる。 ①小学校において技術科を新設したことは子どもの資質・能力の育成に資するか 昨年度同様に,自己表現力,課題探究力,社会参画力を生かして学んでいるかどうかを把握するため,児童へのアンケートを行った。項目は「わたしは,技術の時間に,自分の作りたいものを考えたり,自分の作りたいものを製作したりするのが好きだ。(技術・自己表現力)」,「わたしは,技術の時間に,この製品をどうやって作るのかと疑問をもったり,自分の願う製品になるよう活動したりしている。(技術・課題探究力)」,「わたしは,技術の時間に,友達と協力して作ったり,人の役に立つ製品を作ろうとしたりしている。(技術・社会参画力)」である。 自己表現力についての項目に「当てはまる」「やや当てはまる」と回答した子どもは,昨年度

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