附属松本中6年次 実施報告書
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- 32 - 体育の見方・考え方を働かせながら,どのように学んでいくのかを思い描き,具体的な支援ができたからこそ,Oさんは,「できてくる私」を実感することができたのではないだろうか。教材研究を重ね,生徒が探究的に学ぶイメージをもつこと,そして,その学びに寄り添いながら,必要とされる支援を考えることが,生徒の探究的な学びを支える教師の役割であると考える。 【事例②】 生徒が伝えたいことや表現したいことを求め,探究的に学びを深めていけるように,目的・場面・ 状況等に即し,生徒の必要感に応じた言語活動を位置付ける 単元名:「「1D Recreation Party 」(New Horizon English Course 1 Unit8 A Surprise Party) ⅰ)生徒の「思いや願い,問い」を高めていくとともに,必要感に生じる言語活動の設定 生徒は,「思いや願い,問い」が高まっていくと,伝えたい内容を英語でどのように表現するのか考え,それを表現するために必要な知識及び技能を自ら欲していく。自分が伝えたいことや知ってほしいことを表現しようとした時に,うまく言えなかったり,「これって英語でどのように表現するのだろう」と生徒が立ち止まったりした時が,知識及び技能の習得のチャンスである。そのためには,教師は,目的・場面・状況等に即し,生徒の必要感に応じた言語活動を単元に複数位置付けていく必要がある。自らの実践を振り返ってみると,言語活動を位置付けることはできていても,その言語活動が生徒の必要感に応じていなかったり,指導の場面で生徒が伝えたいことや表現したいことを支えたりすることができていない現状があった。そこで,生徒の「思いや願い,問い」を中心に据え,単元内で必要感に応じた言語活動を複数回位置付けることで,生徒が伝えたいことや表現したいことを求め,探究的に学びを深めていけるようにした。本単元では,最初に,教師がALTの先生(マット先生)と共にイギリスのレクリエーションを共に行う場面を設定し,それを共に楽しむことができるようにした。そして,教師が,マット先生に「D組のみんなと仲を深めるために共にレクリエーションパーティーを行いたい」という思いを語ってもらう場を設定することで,「マット先生とレクでもっと仲良くなりたいな」,「どんなレクなら一緒に楽しめるのか」,「マット先生にルールや内容を英語でどのように伝えたらよいのか」など,生徒が「思いや願い,問い」をもつことができるようにした。その「思いや願い,問い」から出発し,グループでレクの内容を検討するやりとりをしたり,パーティーで大切にしたいこととして「参加者全員が楽しめる」という目的に気付けるように教科書「A Surprise Party」の登場人物の心情を読み取る場面を設定したりした。その中で「マット先生自身のことについてもっと知りたい」という声を待ち受け,マット先生にインタビューする場を設け,インタビューで得た情報を基にレクの内容を検討し,人に思いを寄せながら英語でやり取りすることができるような単元を構想した。 ⅱ)新たな表現を獲得したことで,自分の思いを友に伝えることができたKさん Kさんは,マット先生がどのようなことに興味や関心をもっているのか知り,その情報を基にマット先生と共に行うレクをどれにするのか,みんなで検討したいという願いをもった。そこで,教師は,生徒がマット先生にインタビューする機会を設け,マット先生の思いに寄り添い,マット先生と仲を深めるためのレクを検討できるようにした。マット先生へのインタビューでKさんは,マット先生が外での遊びに興味をもっていることを知った。しかし,その情報と,自分が考えたレクをどのように結び付けて,グループの友達に説明しようか悩んでいる姿が見られた。そこで,教師は,「Matt(He) said “〇〇”, so I think 〇〇」という表現の仕方を提示することで,インタビュー調査で得た情報を基に,自分の考えを述べられるようにした。新たな表現方法を獲得したKさんは,グループの友達が,「Why do you think can kicking is good?」とKさんに尋ねると,「We can enjoy this game. Matt said…なんだっけ?”I like outside game.”」と自(1年 英語)

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