5年次 実施報告書
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‐24‐ (6)小学校高学年~もっと詳しく知りたいと願い,より専門的な見方・考え方を求めていく【領域の教科化】~ 小学校高学年では,低学年時の特徴に加え,教師は,もっと詳しく知りたいと願い,より各教科の見方・考え方を働かせようとしている子どもを捉えようとしている。実際,子どもは,これまでの経験によって積み上げられた具体物を用いた学びから,目では捉えにくい抽象度の高い学びに対して興味関心を抱いていく。そこで教師は,身の回りの経験では得られない新たな世界を開拓していけるような場を位置付けている。 (7)中学校~学びの先にある新たな自分を予感し,確かにしていく【教科等の総合化】~ 中学校では,社会の入り口に立つ中学生が「3つの力」を発揮し,各教科等の見方・考え方をとことん働かせながら,様々な資質・能力を有機的・総合的に育み,生きた現実に対峙できる地球市民を育みたいと考えている。そのために,生徒の「思いや願い,問い」から発し,生徒が教科の枠にとらわれず,学びの場・方法・内容を総合しながらとことん探究し,一人ひとりが確かな学びを構成していけるよう,以下2つに力を入れて取り組んでいる。 まず,全教科で探究的な学びのデザインに取り組み,その実践の記録の分析や探究的な学びそのものの捉えの見直しを継続していることである。もう1つは「総合的な学習の時間」である。生徒の「思いや願い,問い」から,学級ごとのテーマや活動を立ち上げ,3年間をかけて探究する「学級総合」を行っていることである。 ①中学校における探究的な学びのデザインの重点 本学校園で取り組んでいる探究的な学びのデザインについては,前述の通りである。中学校ではその中で特に,「教材との出会い」の場面で,生徒の心がどう動くのか,模造紙に書きだしたり,何人かの教師で実際にやってみたりしながら見通している。その教材を通して自分の生活や世界の見え方が変わってくるという予感が,子どもにとっての驚きやワクワク,疑問などを生み,探究的な学びのエネルギーとなるのだと考えている。また,自分の「思いや願い,問い」からとことん追究していく中で,自分の問いを連続させ,その質を変容させながら教材の本質に迫っていくための教師の支援として,「省察」場面をどう位置付けるかということを大切にしている。省察の中で,それぞれが追究してきたものが多面的に統合されたり,批正されたりしながら,学びは立体的に構成されていく。教師は探究的な学びをデザインする際,生徒が立ち止まらざるを得ない場面や,学びを振り返らざるを得ない場面を位置付け,問いの質の変容を支えている。そして,単元末には,探究的に学んできたことが,「今の自分やこれからの自分にとってどういうことであるのか」と自分に矢印を向けて考えるなど,生徒が自分の生き方や前提を問い直し,編み直していく姿や場面をまなざしている。 ②総合的な学習の時間 生徒は実生活や実社会にある「もの・ひと・こと」と具体的に関わり,その中で生まれる生徒の「思いや願い,問い」から,学級ごとにテーマや活動を立ち上げている。中学校では3年間クラス替えがなく,学級担任は同じ学級を3年間受けもつ。総合的な学習の時間の学習単位は学級とし,「学級総合」を行っている。学級担任は,3年間の学級総合の中で育みたい生徒の姿と,そのために考えられる活動等の見通しを「総合カレンダー」として表す。「総合カレンダー」を全教員で共有したり,「総合を語る会」を開催し,各学級の総合の活動内容や成果および課題を語り合ったりすることで,教科担任が学級総合との関わりを意識した教科の授業を展開し,教科の学習と学級総合の学びが往還できるようにカリキュラムマネジメントを試みている。 また,その活動に打ち込み,「思いや願い,問い」の質を変容させながら,何度も探究を繰り

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