5年次 実施報告書
20/57

2 研究の概要ああああああああああああああああああああああああああああああああ 教育課程の編成方法や1時間の授業における指導方法等を開発するのではなく,カリキュラムや‐16‐ Ⅰ 研究開発の概要 1 研究開発課題あああああああああああああああああああああああああああああああ 本研究開発の目的は,持続可能な開発のための教育として,「たくましく心豊かな地球市民」を育むために,自己表現力・課題探究力・社会参画力を軸として,様々な資質・能力を有機的・総合的に育む,幼小中一貫教育の教育課程の効果的な実践の要件抽出と評価の開発である。 信州大学教育学部附属幼稚園・松本小学校・松本中学校(以下,本学校園)では,平成28年度~平成31(令和元)年度までの4年間の研究開発の実践を通して,「学びの総合化」を具現化するための12年間の教育課程の編成に取り組み,全体像とそれを支える教師のスタンスやカリキュラム・マネジメントについては示すことができた。 本学校園の職員は,「探究」を幼小中の共通の窓口として教育活動を進め,「『子どもから』に徹した探究的な学びが子どもの資質・能力を耕すことに通じる」という手応えを確かにしつつある。知識先行型の授業づくりから脱し,子どもの中で知識が構成されていく仕方を見守り,構成的な学びを促す枠組みについての認識が深まっている。しかし,実践をどうデザインし,子どもの学びをどう評価しているのかを分析し,体系化して明示することは,現段階では十分にできていない。 また,先述の研究開発学校としての4年間に蓄えた実践記録や園児・児童・生徒のデータでは,12年間の資質・能力の育ちとそれを支える教育課程の在り方を分析し体系化するところまでは到達していない。12年間にわたる子どもの「学びの総合化」を支える教育課程を実現するためには,現在の子どもが他の段階に移行したとき(進学時等)にどのような変容が見られるのか,その変容を踏まえて子どもの学びを教師がどう支えるのかなどを分析し,その知見を体系化することが必要である。 以上のことから,「『子どもから』に徹した実践が確かに子どもの資質・能力を耕すことに通じる」という研究の妥当性を高め,授業改善や評価を含むカリキュラム開発等を行えるようにする要件や方略の抽出と,その体系化を行うことを課題とした。 授業をデザインする際の教師の思考・判断に注目しながら,デザインする際に大切にしていることを,実践事例を踏まえて明示しようとしてきた。それは,探究的な学びをデザインする際の要件を抽出し,体系化しようとすることである。そのために,実践をし,それを再構成していく教師の思考や判断に焦点を当てたデータを蓄積したり,子どもが何を学んだかだけではなく,どう学んでいるかということを捉えるためのstudy logの蓄積のための方法を試行錯誤したりしてきた。 その中で,探究的な学びとは何か,また,それをデザインしていく際に教師が大切にしていることは何か等,三校園を貫く「子どものよさからはじまる探究的な学びのデザイン」が,実践→省察→再構成の中で見えてきつつある。また,それが,確かに子どもの資質・能力を耕すことに通じているという実感を強めることもできた。子どもの学習状況や経年変化等を把握し,個別最適な学びへとつなげていくための見通しも見えてきている。 令和3年度研究開発実施報告書

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る