統合報告書2023
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ビジョンと経営戦略活動実績ガバナンス人と地域の資産財務情報エネルギー・環境問題が深刻化するなか、化石燃料に替わるエネルギーとして水素が注目されています。脱炭素社会に向けて、水素エネルギーを生活で利用する水素社会の実現へと取り組むのが、信州大学先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所の堂免・久富研究室です。太陽光のエネルギーを用いて、極めて安価な水素を大量に合成できる可能性を持った水分解法の実用化に向けた研究を行っています。変換効率が世界最高水準の粉末光触媒シートを開発水素生成光触媒と酸素生成光触媒を組み合わせることで、水を水素と酸素に分解することができます。この仕組みを利用して、水素生成光触媒と酸素生成光触媒を混合した「粉末光触媒シート」を開発しました。このシートは、高い水分解活性を持ち、太陽光水素エネルギー変換効率は世界最高水準の1.0%に達しています。さらに、大面積に展開しても効果を保つなど、非常に優れた性能を持つことがわかっています。現在、より効率的な可視光利用を目指して、新たな光触媒シートの開発が進められています。光触媒パネル反応器の低コスト化、大規模化に向けた技術開発も光触媒による水分解の将来の応用可能イメージ太陽光光触媒粉末光触媒シート具体的には、粉末光触媒を用いた水の光分解とその反応システムの研究を行っています。酸窒化物、窒化物、酸硫化物等の半導体材料に早くから着目し、水分解用の光触媒として開発を進めてきました。開発が展開していけば、太陽光を利用して高効率に水素と酸素に分解する光触媒が実現し、大規模水素製造の実用化に向けて大きく前進します。現在、光触媒の調製法と物性、機能の相関を詳しく調べながら性能の向上に取り組んでいるほか、粉末材料の特性を活かして大規模展開に適した反応システムの開発にも取り組んでいます。大規模な水分解用光触媒パネル反応システム信州大学先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所堂免 一成特別特任教授(クロスアポイントメント)信州大学先鋭領域融合研究群先鋭材料研究所学術研究院(総合人間科学系)久富 隆史教授Integrated Report 2023 Shinshu UniversityPRODUCTS1980年、堂免一成特別特任教授(東京大学教授を兼任)は、チタン酸ストロンチウム(SrTiO₃)が水の完全分解反応に活性を示すことを世界で初めて報告し、水分解用の光触媒の開発に着手しました。現在もより高効率的な水分解を行う光触媒の研究開発を進めています。開発された光触媒は、東京大学堂免研究室と共同で開発している世界最大級の水からのグリーン水素製造装置に利用されており、光触媒パネル反応器の低コスト化と一層の大規模化、高効率化に向けた技術開発が進められています。水素自動車15注目の新エネルギー「ソーラー水素」の実用化を目指してH₂O₂H₂O₂H₂O₂H₂研究活動実績02

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