総合人間科学系研究紹介2024
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教職支援センター教職支援センター研究から広がる未来卒業後の未来像研究から広がる未来卒業後の未来像田村 徳至 准教授新潟県出身。2006年 上越教育大学教育学研究科社会系コース 修士課程 修了。1993年~2013年 新潟県公立中学校社会科教諭を経て、2013年4月信大着任。2018年10月より現職。研究分野は、金融経済教育、消費者教育。横嶋 敬行 助教鳴門教育大学大学院学校教育研究科修了、兵庫教育大学大学院連合学校教育学研究科博士課程修了。博士(学校教育学)。公認心理師。2022年9月に信州大学教職支援センターに着任。26学生のライフプラン�マネープランに関する相談対応意識と無意識の2つのシステムについてのイメージです。脳科学の研究領域では、より詳細な機能の分析が進んでいます。令和1年度 教員免許状更新講習の一コマ「はじめての消費者教育~消費者教育をどう行うか(経済分野)」日本心理学会シンポジウムの様子「キャリア教育」の授業の一コマ学び続ける教師であるために��� 紙とえんぴつを使った児童用の紙筆版IAT2022年の全国における特殊詐欺被害額は370億円(前年比3割増)にもなっています(警察庁)。近年、金融商品やサービスは複雑で多様化してきており、一人一人の市民が主権を持つ消費者として、賢い選択と意思決定をしなければならない状況に置かれています。そこで私は、すぐれた経済的意思決定ができる主体的な消費者を育成するためには、幼児(遊びを通して)段階から高等学校終了まで金融経済に関わる知識・スキルだけでなく、非認知能力の向上も重要であるとの認識に基づき、15年間一貫した金融経済教育の学習カリキュラムの構築(開発)に関する研究しています。人間の情報処理機能は意識と無意識の2つのシステムに大別され、意識は論理的・統制的な処理を行い、無意識は直感的・自動的な処理を行うと考えられています。どちらも人間が健康的・適応的に生きていく上で欠かせない機能です。近年、これらの研究は大きく発展してきましたが、児童期や青年期の研究に目を向けると、まだまだ発展途上です。私は、潜在連合テストという方法を用いて、児童期や青年期の発達に欠かすことのできない「自尊感情」や「向社会性(思いやりの心)」について、意識と無意識の両側面から研究を進めています。平成26年度から令和3年度までの8年間、長野県の先生方の金融経済分野の授業力向上を図るべく「はじめての消費者教育」というタイトルで経法学部の先生とコラボして「教員免許状更新講習」を実施してきました。信州社会科教育研究会にも所属し、小・中学校の先生方と交流も行っています。自分の研究成果が浸透することにより、先生方の金融経済に関わる消費者教育の実践力向上が期待できます。金融経済分野を中心とした消費者教育の実施法と知識等を身に付けた学生が、中学校・高等学校の教師として巣立っていきます。彼らの授業実践により、主体的で賢い消費者が多数育成されることが期待されます。学校教育では自尊感情の育成が大切にされていますが、意識的な自尊感情が高い場合であっても、無意識的な自尊感情が低いと、精神的健康や適応行動に問題が生じてしまうことをご存じでしょうか。児童期や青年期における意識と無意識の研究の発展は、新しい児童生徒理解の視点を提供してくれると期待されています。発達心理学、教育心理学、カウンセリングに関する知識は、教師として「教える側」に立ったときだけでなく、一人の成人として自分自身の心の成長に向き合う力にもなります。私の授業では、自他を尊重し、自律的な生き方を選択できる学生の育成を目指しています。総合人間科学系教職支援センター総合人間科学系教職支援センター幼児から高等学校まで15年間にわたる金融経済教育のカリキュラム開発意識と無意識の両方の視点から子どもたちの心の成長を考える

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