総合人間科学系研究紹介2024
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高等教育研究センター研究から広がる未来卒業後の未来像松宮 慎治 講師大阪教育大学教育学部卒業。広島大学大学院教育学研究科博士課程前期修了。神戸学院大学事務職員を経て2023年より現職。21分析に用いるプログラミング言語Rを使うための統合開発環境(RStudio)です。Rはオープンソースかつフリーのソフトなので、世界中の人が競い合い、無料で開発�利用しています。毎月発行されている『私学経営』(私学経営研究会)です。分析では技術だけではなく、対象固有の「ドメイン知識」が大切なので、こういった業界誌で勉強しています。日本高等教育学会第26回大会(千葉大学)での研究報告のようすです。大学をめぐる制度・政策の効果を、統計分析で検証する研究をしています。研究では、(1)興味のある制度・政策を選ぶ(2)その制度・政策に関係しそうなデータをできるだけ網羅して収集し、分析可能な状態に整備する(3)そのデータを用いて、政策以外による影響を技術的に排除する、という3つの段階を踏みます。ただし、統計分析を使った研究には、「データがないと検証できない」という弱みがあります。このため、せっかく興味関心があっても検証を諦めざるをえない制度・政策もありますし、逆に目の前にあるデータから、検証できそうな制度・政策を発見することもあります。政策・制度の効果を分析していると、特定の目的を達成するために、それらを適切に設計しようとすること自体が、かなり難しいことに気づきます。人間社会の営みは複雑なので、特定の処置・介入のみで成果が上がることは困難なようです。しかし、複雑であり、簡単ではないのだと知ることが、出発点になるのかもしれないと思います。大学への進学行動は、進学する当人だけではなく、社会にも便益をもたらすことが知られています。他方、日本では同世代の半数しか大学に進学していません。大学に進学する意義を噛みしめつつ、社会に還元してくださると嬉しいです。総合人間科学系高等教育研究センター「その政策って効果あったの?」を統計分析から考える

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